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【不動産広告】広告表示の開始時期の制限〜「青田売り」防止

公開日:2017年9月12日

不動産業界は医療業界と並んで広告の規制が厳しい業界です。

不動産広告に携わるものとして、広告規制を学びたい・学ばないといないと思っています。

 

 

僕の学習のための内容ですので、業界が長い方はすでにご存知の内容かもしれません。

復習としてお読みいだだければと思います。

(もし、内容が違っていたらコメントください^^!)

 

今回は「広告表示の開始時期の制限」に関してです。

 

宅建業法や不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)では、広告表示の開始時期が制限されています。

 

これは、宅地の開発計画やマンションの建設計画を立ててその物件を広告しても、開発許可や建築確認が下りなかったり、大幅な計画変更がある場合には広告どおりの物件を提供できないことが可能性があるためです。

 

 

宅建業法上の制限

 

宅建業法第33条。

 

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宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項 又は第二項 の許可、建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項 の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

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未完成の宅地の場合は開発許可、未完成の住宅の場合には建築確認を受けなければ、広告および契約をしてはいけないと定められています。

 

要するに、「青田売り」の制限です。

 

 

表示規約上の制限

 

表示規約第5条。

 

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事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。

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表示規約においても宅建業法と同様に、宅地の造成または建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可がないと、その工事に関する宅地又は建物の内容や取引条件その他の取引に関する広告表示を禁止しています。

 

表示規約では、新聞やチラシ等による「広告」だけでなく、店頭や戸別訪問におけるセールスマンや口頭説明など表示規約第4条第5項に該当するすべての「表示」が対象となります。

 

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<表示規約第4条第5項>

この規約において「表示」とは、顧客を誘引するための手段として事業者が不動産(以下第9章までにおいて「物件」という。)の内容又は取引条件その他取引(事業者自らが貸借の当事者となって行う取引を含む。以下同じ。)に関する事項について行う広告その他の表示(以下「広告表示」という。)であって、次に掲げるものをいう。

(1)物件自体による表示及びモデル・ルームその他これらに類似する物による表示

(2)チラシ、ビラ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)及び口頭による広告表示(電話によるものを含む。)

(3)ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーンその他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による表示

(4)新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、演劇又は電光による広告

(5)情報処理の用に供する機器による広告表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)

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よくある違反

 

「広告表示の開始時期の制限」に関してのよくある違反は、「建売住宅の青田売り」と「建築条件付土地」を混同することです。

 

「建築条件付土地」は条件付きで広告表示が認められていますが、「建売住宅の青田売り」は認められていません。

 

「建築条件付き土地」とは、

 

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自己の所有する土地を販売するに当たり、自己と土地購入者との間において、自己又は自己の指定する建設業を営む者(建設業者)との間に、当該土地に建築する建物について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件として売買される土地をいう(建築請負契約の相手方となる者を制限しない場合を含む。)。

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一方、「建売住宅の青田売り」とは、

 

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元々建売住宅として企画していた物件を建物の建築工事完了前に、「建築条件付土地」のように仮装して広告、販売すること

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不動産公正取引協議会のページに「建築条件付き土地」の正しい表示と「建築条件付き土地」に仮装したダメな表示の例が載っていましたのでご紹介します。

 

出典元:公益社団法人首都圏不動産取引協議会「建築条件売地の表示方法」

 

左側は、「建築条件付き土地」の正しい表示例。

 

右側は、建築確認が下りていないのに、総額表示したダメな表示例です。

 

 

「建築条件付土地」の場合に表示しないといけない事項

 

「建売住宅の青田売り」と区別するため「建築条件付き土地」を広告する場合に表示に関しては、表示規約第6条で定められています。

 

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第6条 前条の規定は、建築条件付土地取引に関する広告表示中に表示される当該土地に建築すべき建物に関する表示については、次に掲げるすべての要件を満たすものに限り、適用しない。

(1)次の事項について、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で表示していること。

ア 取引の対象が建築条件付土地である旨

イ 建築請負契約を締結すべき期限(土地購入者が表示された建物の設計プランを採用するか否かを問わず、土地購入者が自己の希望する建物の設計協議をするために必要な相当の期間を経過した日以降に設定される期限)

ウ 建築条件が成就しない場合においては、土地売買契約は、解除され、かつ、土地購入者から受領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、すべて遅滞なく返還する旨

エ 表示に係る建物の設計プランについて、次に掲げる事項

(ア)当該プランは、土地の購入者の設計プランの参考に資するための一例であって、当該プランを採用するか否かは土地購入者の自由な判断に委ねられている旨

(イ)当該プランに係る建物の建築代金並びにこれ以外に必要となる費用の内容及びその額

(2)土地取引に係る第8条に規定する必要な表示事項を満たしていること。

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この記事を書いた人

尾畠悠樹
尾畠悠樹代表/ITコーディネーター
システム開発と製造業のDX推進、製造業の企業価値を高めるプラットフォーム/ファクトリーサーチの運営を中心に、東京と名古屋を拠点に活動しています。
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