システム開発に重要な役割を果たす要件定義書の作成方法とは?手順や作成のポイントを解説!
公開日:2023年9月15日
システム開発において、プロジェクト成功のために必要な書類が「要件定義書」です。
プロジェクトはこの「要件定義書」を全体の道しるべとして進めるため、要件定義がシステム開発の成功を左右するとも言われます。
要件定義書の作成は、クライアントの抱える課題を開発者が正しく把握し、実装する機能などを決定する非常に重要な工程となるため、どう進めるべきか頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、システム開発における要件定義書の重要性や、作成の基本的な手順、作成のポイントなどについて詳しく解説します。
システム開発における要件定義書の重要性
「要件定義書」とは、システム開発の際に求める機能や性能、実現したいことなどをわかりやすく具体的に記載した書類です。
内容を共有することで、クライアントがそのシステムで何をしたいのか、なぜそのシステムが必要なのかという、システム開発における「目的」が明確になります。
要件定義のプロセスでクライアントの希望する仕様を開発者が理解することで、希望通りのシステム開発ができ、プロジェクト成功にもつながります。
「要件定義書」は、開発者とクライアント間の認識を一致させ、プロジェクトの進め方を決める土台となる、非常に重要な役割を果たすものと言えるでしょう。
主に記載されるのは、以下の情報です。
・業務要件
業務要件は、開発目的を明確にすることです。「どのような目的を実現するために、そのシステムを開発するのか」という発注に至る経緯などが記載されます。
・システム要件
システム要件は、開発システムにどのような機能や性能が必要かをまとめた項目のことです。実現するためにどのようなシステムを開発すべきか、システムが何をできなければならないかが明記されます。
・機能要件
機能要件とは、クライアントがシステムに対して求めている機能のことです。システム化で具体的に何が変わり、何が可能となるのかを細かく記述します。クライアントからの要望である機能を満たすことは最低条件であり、システムの目的に関わる大切な項目です。
・非機能要件
非機能要件は、機能以外のあらゆることについて記載する項目のことです。ユーザビリティ・性能・拡張性・セキュリティなど品質的に関連するもの全般が記載されます。発注者からは見えにくい部分ですが、非機能要件が満たされることで、システムが使いやすく満足度の高いものになります。
・システム導入後の流れ
システムが導入された後、どのように業務に関わるのかを記載する項目です。わかりやすくフローチャートなどを使用することもあります。
・セキュリティ要件
セキュリティ要件は、どのようなセキュリティを構築するかを記載する項目です。システム利用時には、ウイルス感染や情報漏洩などのリスクがありますが、こうしたトラブルが発生した場合の具体的な対策についても明記されます。
要件定義書作成における基本的な手順
要件定義書は、システム制作会社の開発者側が作成し、プロジェクトリーダーやシステムエンジニアが担当するのが一般的です。
精度の高い要件定義を行うには高い技術的知識が必要になりますが、要件定義書は開発者だけでなく、クライアントにも共有されるため、普段システム開発に携わらない人でも理解できるように、わかりやすく記載する必要があります。
要件定義書作成の流れをステップごとに紹介します。
ユーザーからヒアリング
最初のステップは、ユーザーからの要望やニーズ、システム開発の目的を明確にするためのヒアリングです。
面談や質問用紙を活用し「どのような課題を解決したいのか」「システムを活用して何を達成したいのか」などの目的や背景を確認します。
ただ聞くだけでは、潜在的ニーズを把握できないこともあるため、真の意図をくみ取ることを意識し、既存システムの問題点などを詳しく聞き出すなど、クライアントの期待や課題を具体的に理解することが大切です。
システムの構造を明確化
次のステップは、システムの構造や大まかな構成を明確化することです。
ヒアリングした要求を細分化して整理し、システム化するべき要件や内容を決めていきます。
システムの規模や機能の範囲を検討し、開発チームとクライアントで理解を共有できるようにします。構成図(アーキテクチャ図)を作成すると、さらにシステム全体の概要を視覚的に理解しやすくなります。
技術選定やプラットフォームの選択も検討し、プロジェクトの技術的な方向性もこの段階で決定します。
機能要件の定義
概要が決定したら、実現すべき機能を明確にするための機能要件を定義します。
必要な機能を洗い出し、一つひとつを詳細な部分までまとめる作業です。具体的な機能や操作手順をリスト化し、優先順位をつけましょう。
合わせてユースケース図やワイヤーフレームを作成することで、機能要件をより深く理解できるようになります。
実行のスケジュールを立てる
最後にプロジェクトのスケジュールを立てて、それに合わせた予算、開発メンバーなども決定していきます。納期、リソース割り当てなどを検討し、具体的で現実的な計画を立てることが重要です。
行うべき開発内容から必要な作業・工数や費用を具体的に割り出し、クライアントへ見積もりを提出します。
要求を満たす機能でも、予算やスケジュールをオーバーするような計画では実現が難しくなります。
開発に関わるすべてを考慮する必要があり難易度の高いステップですが、トラブルを避けるためにも入念に実行可能なスケジュールを立てましょう。
要件定義書作成のポイント
要件定義作成の際には、どのようなことを意識するべきなのでしょうか。
わかりやすく質の高い要件定義書をつくるためのポイントをまとめました。
クライアント側と開発側での認識のズレがないようにする
1つめのポイントは、クライアントと開発者でお互いの認識を統一することです。
要望が曖昧なまま作成し認識にズレがあると、開発途中や開発後に「想定していたものと違った」という状況になってしまい、修正作業が発生するため開発時間やコストも膨らんでしまいます。
システム開発の優先順位を明確にするためにも、システム開発が必要な理由や役割、目的を共有し、意見の食い違いがないよう綿密な打ち合わせを繰り返しましょう。
顧客のニーズや要件をまとめる要件定義書は、クライアントと開発者がコミュニケーションを取れば取るほど、その精度が高まります。
工程スケジュールやロードマップを共有する
2つめのポイントは、工程スケジュールやゴールまでの道筋を示したロードマップを作成することです。
システム開発にはさまざまな工程が必要となり、開発の進め方によってスケジュールが変わってきます。全ての工程や作業でスケジュールを制作し、開発スタート後の予定管理体制を整えておくことが大切です。
スケジュールやロードマップを共有することで、プロジェクト全体を俯瞰で把握できるようになるため、作業の遅れなどを把握しやすく、スケジュール通り・予算内での成果物納品が可能になります。
システムリリース後に関しても、想定外の使われ方も考慮し、要件定義の段階からエラー発生時の対応策も検討し、ロードマップに組み込みましょう。
まとめ
- 「要件定義書」はシステム開発の際に、求める機能や性能などを記載した書類で、認識を共有しプロジェクトの具体的な進め方を決める重要な役割を果たす
- 要件定義書作成は、ヒアリングを行った後に構造を決定、機能要件を定義後スケジュールを決定するという手順で行う
- わかりやすい要件定義書には、開発者とクライアントの認識のズレを防ぐこと、スケジュールやロードマップの共有することがポイント
この記事を書いた人
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