WordPressサイトのサーバー移行・ドメイン移管:トラブル回避と成功のポイント
公開日:2023年9月28日
WordPressでWebサイトを運用し続けていくにあたり、サーバーやドメインを別の管理会社へ変えることがあります。それぞれ、「サーバー移行」「ドメイン移管」と呼ばれる作業になりますが、両者の違いがわからない、という方も多いのではないでしょうか。
どちらもある程度時間がかかり、正しく作業しないとさまざまなトラブルが発生する可能性もあるため、慎重に進める必要があります。
この記事では、「サーバー移行」「ドメイン移管」とは何か、変更作業時のポイントやよくあるトラブルとその回避方法などを解説します。
サーバー移行とドメイン移管
サーバーやドメインを別の管理会社へ変更することを、「サーバー移行」、「ドメイン移管」といいます。
「サーバー」とは、Webサーバー・メールサーバーのこと。Webサイトのデータを置き、Webサイトを公開するという役割があります。
わかりやすく例えると、「サーバー」はWeb上にある “土地”です。一般的にサイトを制作する場合には、まずサーバー(土地)を借りる必要があり、そこにサイトを作成します。サイトは “建物”にあたります。
Webサイトを作成するには、まずサーバーと契約し、データなどを置くための場所を確保する必要があるというわけです。
また、「ドメイン」とは、指定することでユーザーがアクセスできる文字列のこと。こちらもわかりやすく例えると、Web上の”住所”にあたるものです。
ドメインは、サイトを所有する企業や団体の名前、地域や業種などから自由に決めることができます。
ドメインを指定しない場合、サイトURLはランダムな数字やサーバー名などになり、サイトを訪れてほしい人に対してわかりにくい状態になります。
“住所”にあたるドメインを指定することで、イメージを連想しやすくサイトへも訪問しやすくなるのです。
「サーバー移行」とは、現在使用中のレンタルサーバーを、別のレンタルサーバーに移すこと。サーバー内のデータを、新しいサーバーに移せば完了となります。
サーバー移行が必要な状況としては、現在利用中のサーバーのスペックをより高いものへ乗り換えたい、利用料を安く抑えたい、サイトを管理する制作会社を変更したい、などがあるでしょう。
「ドメイン移管」は、「サーバー移行」と混同しがちですが全く別の手続きとなり、ドメイン管理会社を乗り換えることを指します。
ドメイン管理会社は、ユーザーからの申込みによりドメインを登録し、ドメインが重複しないように管理しています。移管を希望する場合は、移管先のサービス会社へ申し込みをし、ドメインを取得、転入手続きをします。
ドメイン移管が必要な状況としては、よりわかりやすいアドレスに変更したい、別々の企業で使用しているドメインを1つにまとめたい場合などが挙げられます。
サーバー移行をする際にはドメイン移管もしなくてはいけない、と考えがちですが、特に変更する理由がなければ、必ずしも同時にドメイン移管をする必要はありません。
サーバー・ドメインの移行のポイント
サーバーやドメインを移行する際には、トラブルを防ぐためにしっかりとした事前の準備が必要になります。
スムーズな移行のためには注意しておきたい点もあります。サーバー・ドメインの移行時に気をつけたいポイントをまとめました。
移行する際の事前準備
サーバーの移行作業でトラブルが発生すると、データが消滅してしまうことがあります。想定外の事故に備え、サーバーの移行前には必ずデータのバックアップをしておきましょう。
移行前のサーバーにFTPで接続し、すべてのファイルをダウンロードします。ダウンロードしたデータは、社内サーバーのハードディスクやクラウド上の有料ストレージサービスなど、安全な環境での保管が推奨されます。
メールアカウントも移行前に確認しておきたいポイントです。利用中のメールアカウントで、メールアドレス、ユーザー名、利用者の名前をリスト化しておきましょう。新しいサーバーで、メールを利用する際に役立ちます。
また、ドメインとサーバーの移行時には、他社のサーバーにアクセスが必要な場合もあります。サイトの情報が社外へ流出する可能性もあるので、他のサーバーへのアクセスについては、必ず事前に確認してから作業を進めましょう。
さらに、ドメインの移管申請についても十分なチェックが重要です。ドメイン登録業者として登録するドメインには管理者情報である「Whois情報」が登録されます。
管理者氏名や住所などに誤りがある場合は、移管申請を拒否されてしまうため、住所の番地以降の情報に記入忘れなどのミスがないか、細かい点まで確認してから申請を提出しましょう。
移行する際の注意点
サーバーやドメインの移行時には、いくつか注意しておきたい点があります。
特に以下の2点についてはトラブルの原因になる可能性があるため、移行の作業前に理解・認識し、社内でも事前に周知しておきましょう。
変更はすぐには反映されない
サーバーの変更は即時反映されません。早ければ数時間程度、最大で2日程度かかることもあります。
そのため、サーバー変更後しばらくは、旧サーバーのホームページが表示され、新・旧どちらにもアクセスがある状態になります。その間、Webサイトが表示されにくくなるなど、不安定になることもあります。
ドメイン移管にはより長く時間がかかります。申請~完了までにかかる期間は数日~7日程度。最大で2週間程度かかる場合もあります。この期間には、ドメイン管理会社側で行う作業も含まれているため、社内での作業を早めても短縮することはできません。
初めてのドメイン移管には、余裕を持ったスケジュールを設定し、確実に作業を進めていくことが大切です。
メールの送受信が不安定になる
移行手続き後は、メールサーバーも移管することになるため、メールの受信や送信が不安定になります。
特にビジネスで使っているサイトでメールが届かないことは、売り上げや業績にかかわる非常に大きな問題です。
そのため、移行手続き中は新旧両方のサーバーでメールを送受信できる設定にし、両方のメールをチェックするよう社員に知らせておく必要があります。
サイトやメールの不具合が起こりやすいことを踏まえ、サーバー移行のタイミングは繁忙期を避けるなど、慎重に検討しましょう。
よくあるトラブルと回避方法をご紹介
無事にサーバー・ドメイン移行の作業が完了したとしても、その後にさまざまなトラブルが発生することがあります。
ここでは、よくあるトラブルとその回避方法をご紹介します。原因・解決法を先に把握しておくことで、トラブル発生時にすばやく対策できるようにしましょう。
トラブル1:サイトが表示されたり表示されなかったりする
移行してしばらくは、サイトが表示されたり表示されなかったり、不安定になることがあります。
先ほども解説した通り、サーバー変更後数日は、新旧サーバーのどちらが表示されるかわかりません。アクセスのタイミングによっては表示されない状態になってしまいます。
新旧いずれのサーバーでもデータが参照できる状態で、ドメインのネームサーバーを新サーバーのものに変更すれば解決できます。設定変更後はサーバーが安定するまで数日間待ってみましょう。
トラブル2:正しいアドレスなのにサイトが表示されない
正しいサイトアドレスなのにページが表示されない、初期画面しか表示されない、というトラブルもよくあります。
主な原因として、データのアップロード場所を間違えていることが考えられます。
「WordPressを構成するファイル」のアップロード先が異なるとサイトが表示されません。対象ファイルがサーバーの「public_html」フォルダ内にアップロードされているか確認してみましょう。
もう一つの原因として、ブラウザのキャッシュが影響している場合があります。
キャッシュとは、一度アクセスしたサイトの情報を一時的に保存する仕組みのこと。一時的に保存された情報のおかげで、次回同サイトへアクセスした際には、迅速にサイトが表示できます。
ただ、そのキャッシュの影響で最新のデータが表示されず、一時的に古い情報を表示し続けてしまうことがあります。
その場合はキャッシュをクリアする「スーパーリロード」を試してみます。使用しているブラウザがGoogle Chromeであれば「Ctrl+F5」を、Safariであれば「Ctrl+R」を押し、最新のデータを表示することで解決できます。
まとめ
- 「サーバー移行」と「ドメイン移管」とは、現在契約中のサーバー、ドメイン管理会社を変更すること
- 移行の際には、トラブル防止のためにバックアップやメールアカウントの確認などしっかりとした事前準備が必要
- 変更はすぐには反映されず、メールの送受信も不安定になることを理解・周知しておく
- 移行後サイト表示が安定しない時にはネームサーバーの変更、サイトが表示されない時にはキャッシュのクリアで解決できる
この記事を書いた人
- システム開発、アプリ開発に関する情報をお届けします。
最新の投稿
- 2024年11月16日生産性向上予実管理と予算管理の違いとは?
- 2024年10月31日システム・アプリ開発大容量の映像や音声データをリアルタイムに送受信できるWebRTCとは
- 2024年10月15日システム・アプリ開発ノーコードで作ったアプリって実際使えるの?ノーコードアプリ開発事例
- 2024年9月22日システム・アプリ開発API開発とは?何ができるの?分かりやすく解説