製造業のための注文書発行システム開発とは|単価管理と将来の拡張性に対応したSaaS選び
公開日:2025年6月2日

なぜ今、注文書発行システムが必要なのか?文書業務の現状と課題
製造業の現場では、取引先に対して「注文書」を発行する業務が日々行われています。注文書は、「何を・いくつ・いくらで・いつまでに納品してほしいか」を正確に伝える重要な書類です。しかし、実際にはこれらの注文書がいまだにExcelや手書きで作られているケースも多く、業務の効率化が進んでいない現場も少なくありません。
例えば、「同じ部品なのに取引先によって単価が違う」「過去の注文履歴を探すのが大変」「担当者しか分からないフォルダ構成になっている」といった課題はよく聞かれます。こうした状況が続くと担当者の業務負担が増え、ヒューマンエラーも起きやすくなります。
手作業中心の運用における課題
- 注文書の作成に時間がかかる
- 単価や納期の入力ミスが発生しやすい
- 取引先が増えるほどファイル管理が煩雑になる
- 過去の注文履歴を確認するのに手間がかかる
- 担当者しか使えない「属人化」したファイルになっている
これらは現場の担当者の負担を増やすだけでなく、業務の正確性やスピードにも悪影響を及ぼします。
注目されるSaaS型の注文書発行システム
こうした状況を改善するため、近年では「SaaS(サース)」型の注文書発行システムが注目を集めています。SaaSとは、「Software as a Service」の略で、クラウド上で提供される業務システムを、インターネット経由で利用できる形態を指します。
SaaS型のメリットは以下の通りです。
- サーバーやソフトウェアの導入が不要で、すぐに使い始められる
- クラウド上でデータが管理されるため、社内外のどこからでもアクセス可能
- 定期的なアップデートにより機能が自動的に改善される
- システム部門のリソースを使わずに導入・運用が可能
とくに「短期間で導入したい」「現場主導で業務を効率化したい」と考える企業にとっては、非常に有効な選択肢となります。
単価管理の柔軟性がカギ|取引先ごとに異なる条件に対応
製造業の注文業務で重要なのが「単価管理」です。実際の現場では、以下のような事情から単価が一定ではありません。
- 同じ部材でも取引先によって価格が違う
(例えば、10年取引しているA社には割引価格で提供し、新規のB社には標準価格で提供するといった運用) - 注文数量によって単価が変動する
- 時期や契約条件に応じて単価が見直される
このため、注文書発行システムには「取引先ごとの単価マスタを柔軟に管理できる機能」が欠かせません。
優れた注文書発行システムでは、「単価マスタ」と呼ばれる機能により、品目ごと、取引先ごとに単価を登録しておくことが可能です。単価が変更になった際も、簡単な操作で更新できるインターフェースが整っていれば、担当者がミスをするリスクも大きく減ります。
また、初期導入時にはExcelなどで持っていたデータをCSV形式で一括アップロードできると、スムーズに運用を開始できます。加えて、社内の誰がマスタを編集できるかを制限する「ユーザー権限管理」も大切です。これにより、誤った単価変更や不正な修正を防ぐことができます。
搭載しておくべき機能
- 取引先ごとに単価を登録・更新できる機能
- 有効期間付きの単価設定(例:○月から△月まではこの価格)
- 単価情報をCSVで一括登録・更新できるインポート機能
- 担当者ごとに編集できる範囲を制限するユーザー権限管理機能
これらの機能により、価格ミスの防止と、社内のガバナンス強化の両立が可能になります。
実務に即した注文書作成・発行機能|必要な項目を柔軟に入力
注文書は単なる書類ではなく、製造現場では、納期、数量、加工条件、注意事項など、細かい情報が正確に記載されていることが求められます。
したがって、注文書発行システムにおいては、実際の業務に即した柔軟なフォーム設計が重要です。
具体的には、以下のような項目が必要になることがあります。
- 取引先名
- 注文番号
- 品名/品番
- 材料のサイズ・重量
- 数量
- 単価・加工費
- 納入予定日
- 納入場所
- 注意事項(備考欄)
これらの情報を自在に入力・編集でき、PDFやExcelで出力できる仕組みがあると、現場での実用性が高まります。
またテンプレートの自由度は重要な選定ポイントです。
たとえば、ある企業では「注意事項」欄を重視し、もう一方では「ロット番号」の記載が必須になるなど、業種によって異なるニーズがあるためです。
ほかにも入力ミスを防ぐために、過去のデータから入力候補を提示したり、自動計算機能がついていたりすると、現場の負担を大きく軽減できます。
また、同じ内容で複数の注文書を作成する機会も多いため、「注文書のコピー作成」や「過去の注文履歴からの再利用」など、入力作業を軽減する機能も重要です。
将来的な拡張性・スケーラビリティも見据える
今後企業が成長し、取引先や注文件数が増えていく可能性もあります。そのため注文書発行システムには、そういった変化に柔軟に対応できるスケーラビリティ(拡張性)が求められます。
とくにSaaS型システムを選ぶ際には、以下の点を事前に確認しておくと安心です。
- 登録できる取引先の上限がないか
- 同時に利用できるユーザー数に制限がないか
- データ容量に応じた課金体系や制限があるか
- モバイル端末やタブレットでも利用できるか
- 拠点や部署ごとの利用に対応しているか
- ユーザーごとの権限設定(閲覧・編集・承認)が可能か
これにより組織が大きくなったり運用形態が変わったりしても、柔軟に対応できる体制を整えることができます。
SaaS型システムの多くはクラウド上で稼働するため、サーバー容量やシステム負荷の面でも柔軟に拡張できます。また、自動バックアップやセキュリティ対策が整っているものも多く、導入後の運用も安心です。

まとめ|実務にフィットしたSaaS型注文書発行システムを選ぼう
製造業にとって注文書の発行業務は、全体の業務効率やミスの発生率に大きな影響を与える業務です。だからこそ注文書発行システムを選ぶ際には、「現場が本当に使いやすいか」「実務に必要な機能がそろっているか」を見極めることが大切です。
特に次の3点がそろっているかをチェックしましょう
- 柔軟な単価管理機能があるか
- 注文書の記載項目が現場の業務に合っているか
- 将来的に取引先やユーザーが増えてもスムーズに運用できるか
システム部門に余裕がない企業では、導入のしやすさとランニングコストの低さを兼ね備えたSaaS型のシステムが非常に有効です。短期間で稼働開始でき、現場でも使いやすい仕組みを構築できます。
株式会社イーポートでは、製造業の実務に根ざした注文書管理の仕組みを多数支援してきた実績があります。既存業務の課題をしっかりとヒアリングし、現場に寄り添ったシステム構築をお手伝いします。現場の声を反映した柔軟なシステム構築をご希望の際は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人

- システム開発、アプリ開発に関する情報をお届けします。