アプリ開発をフリーランスに依頼するなら|メリット・デメリットと注意点
公開日:2025年6月6日

競合他社の動向や多様化する顧客ニーズに対応するため、独自のアプリ開発を検討してう企業も多いと思います。しかし、社内に専門知識を持つ人材や開発リソースが不足している場合、外部への委託が考えられます。
通常はシステム開発会社に依頼することが多いですが、コストや柔軟性の面からフリーランスのエンジニアに依頼することも選択肢として注目されています。
しかし、「フリーランスに依頼して品質や納期は本当に大丈夫なのか」「契約やコミュニケーションで問題が起こらないか」といった不安をお持ちの方も多いでしょう。そこで、本記事では、アプリ開発をフリーランスに依頼することを検討している企業の担当者向けに、そのメリット・デメリットを開発会社と比較しながら解説し、依頼時の注意点やフリーランスの探し方についても紹介します。
アプリ開発をフリーランスに依頼するメリット
アプリ開発をフリーランスに依頼する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。開発会社への依頼と比較した場合の主な利点を4つご紹介します。
コストを抑えられる
フリーランスにアプリ開発を依頼する最大のメリットは、開発会社に依頼するよりもコストを抑えられる可能性が高いことです。
開発会社では、エンジニア以外の人件費やオフィスの賃料などの間接コストが見積もりに上乗せされますが、フリーランスは個人で活動しているため、これらのコストがかかりません。したがって、同じスキルレベルのエンジニアに依頼する場合でも、フリーランスの方が低い単価で発注できる傾向にあり、予算が限られているプロジェクトやMVP開発において大きな魅力となります。
開発スピードが早い
フリーランスに依頼すると、開発会社に比べて開発スピードが速い場合があります。
開発会社では複数の担当者が関わるため、意思決定に時間がかかることがあります。しかし、フリーランスの場合は発注者と直接やり取りするため、迅速な意思決定が可能となり、開発全体がスピーディーに進むことが期待できます。
柔軟な対応が可能
フリーランスは小回りが利くため、仕様変更や細かなカスタマイズに柔軟に対応しやすいというメリットがあります。大規模な開発会社では、社内ルールや開発プロセスにより、軽微な変更でも手続きや追加費用が発生することがありますが、フリーランスであれば直接のコミュニケーションで、機能追加やデザインの微調整に臨機応変に対応してもらいやすいでしょう。
得意分野に特化したエンジニアを選べる
アプリ開発で特定の専門技術が必要な場合、その分野に特化したスキルを持つフリーランスエンジニアを直接探せるのはメリットです。
開発会社では、必ずしも必要な技術領域の専門家がいるとは限らず、担当者も指定できません。しかし、フリーランスであれば、ポートフォリオや実績を確認し、プロジェクトに最適な技術と経験を持つ専門家を選べます。
アプリ開発をフリーランスに依頼する際のデメリット
コストやスピード面で魅力的なフリーランスへの発注ですが、一方で企業として見過ごせないデメリットやリスクも存在します。メリットだけでなく、これらの注意点も十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
属人化によるリスク
フリーランスへの依頼は個人契約のため、担当エンジニアに病気や事故などの不測の事態が起きた場合、開発がストップするリスクがあります。
連絡が途絶えるトラブルも存在し、開発会社のような代替要員がいないため、属人化のリスクが最大の懸念点となります。
大規模な開発への対応力
フリーランスは個人で作業するため、対応できる業務量に限界があります。多機能で複雑なシステムや大規模なアプリ開発は、一人では困難です。複数のフリーランスを集めてチームを組むことも可能ですが、その場合、発注者側がプロジェクトマネジメントを行う必要があり、高度な管理能力が求められます。結果的に、社内の負担が増大する可能性があります。
品質のばらつきと管理の難しさ
フリーランスのスキルや経験は様々であるため、アプリの品質はエンジニアの能力に大きく左右されます。発注者側に技術知識がない場合、ポートフォリオだけで実力を見抜くのは困難です。
また、要件定義や仕様の認識にずれが生じやすく、「機能が不足している」「イメージと違う」といったトラブルは、コミュニケーション不足やドキュメントの不備が原因です。開発会社では専門のディレクターが仕様書を作成しますが、フリーランスとのやり取りでは発注者側がその役割を担う必要があります。
保守・運用フェーズでのサポート体制
アプリは開発して終わりではありません。リリース後のバグ修正やOSのアップデート対応、機能追加といった保守・運用が不可欠です。
開発会社であれば、多くの場合、保守・運用契約を結び、継続的なサポートを提供してくれます。しかし、フリーランスの場合は、開発が完了した時点で契約終了となり、その後のサポートが受けられないケースも少なくありません。
トラブル発生時の責任範囲の曖昧さ
万が一、開発したアプリが原因で情報漏洩やシステムの不具合といった重大なトラブルが発生した場合、その責任の所在が問題となります。
法人である開発会社は、組織として損害賠償責任を負う体力や保険への加入がありますが、個人のフリーランスの場合、資力に限界があり、十分な補償がなされない可能性があります。契約書で責任範囲を定めていたとしても、実質的にその履行が難しいケースも想定しておく必要があるでしょう。
アプリ開発フリーランスの探し方と選び方
では、実際にフリーランスのエンジニアに依頼する場合、どのようにして探せばよいのでしょうか。代表的な方法をご紹介します。
クラウドソーシングサイトを活用する
最も一般的な方法が、「クラウドワークス」や「ランサーズ」、「ココナラ」といったクラウドソーシングサイトの利用です。
多くのフリーランスが登録しており、アプリ開発プロジェクトをコンペ形式で募集したり、特定のエンジニアに直接依頼したりできます。サイト上で過去の実績や評価、ポートフォリオを確認できるため、初めて外注する場合でも比較的安心して利用できます。
知人や取引先からの紹介
知人や同業の取引先から信頼できるフリーランスを紹介してもらうのも有効な方法です。紹介は、スキルや人柄にある程度の実績とお墨付きがあるため、ミスマッチのリスクを低減できます。過去にアプリ開発を発注した経験のある企業が身近にあれば、一度相談してみると良いでしょう。
SNS等で直接コンタクトする
X(旧Twitter)やLinkedInなどのSNSで、積極的に情報発信を行っているエンジニアに直接コンタクトを取る方法もあります。
日々の投稿から、その人の技術に対する考え方や人柄、得意分野などを垣間見ることができます。自社のプロジェクトと親和性が高そうなエンジニアを見つけたら、ダイレクトメッセージで相談してみるのも一つの手です。
オープンソース活動から見つける
技術力の高いエンジニアを探す方法として、GitHub(ギットハブ)のようなプラットフォームで公開されているオープンソースプロジェクトへの貢献度を参考にする方法もあります。
世界中の開発者が自身のコードを公開し、共同で開発を行っているため、その活動を見ることでエンジニアの実際のコーディングスキルや専門性を判断できます。非常に専門的な探し方ですが、特定の技術領域で卓越した人材を見つけられる可能性があります。
フリーランスエージェントを利用する
「Midworks」や「レバテックフリーランス」といった、フリーランス専門のエージェントサービスを利用する方法もあります。
フリーランスエージェントを利用すると、企業の要望に合った最適な人材を紹介してもらえ、スキルチェックや面談済みの質の高い人材と出会いやすい上、契約周りのサポートも期待できます。ただし、仲介手数料が発生するため、直接契約よりもコストが高くなる傾向があります。

アプリ開発フリーランスに依頼する際の注意点
フリーランスへの発注を成功させるためには、いくつか押さえておくべき重要な注意点があります。
過去の開発実績やポートフォリオを必ず確認する
候補となるフリーランスが見つかったら、必ず過去の開発実績やポートフォリオ(職務経歴書など)を詳細に確認しましょう。
可能であれば実際にそのアプリを触らせてもらい、UI/UXの設計や動作の安定性を確認することが重要です。また、プロジェクトの中で自身が担当した役割(設計、実装、テストなど)を具体的にヒアリングすることで、スキルのミスマッチを防ぐことができます。
権利関係を明確に契約書に盛り込む
個人との取引だからこそ、契約書の作成は極めて重要です。口約束は絶対に避け、以下の項目を明確に記載した業務委託契約書を締結しましょう。
- 開発範囲・業務内容:どこからどこまでの作業を依頼するのかを具体的に定義します。
- 納期と報酬:明確な納期と、報酬額、支払い条件(着手金、中間金、完了後など)、支払い期日を定めます。
- 成果物の権利の帰属:開発されたアプリの著作権(ソースコード含む)が、報酬の支払いをもって発注者に譲渡されることを明記します。これが無いと、権利が開発者に帰属したままになる可能性があります。
- 契約形態:「請負契約」なのか「準委任契約」なのかを明確にします。成果物の完成を目的とする場合は「請負契約」、特定の業務の遂行を目的とする場合は「準委任契約」となります。
- 秘密保持義務:開発の過程で共有する自社の機密情報に関する守秘義務を定めます。
開発工程や納品物のチェック体制を整える
フリーランスに任せきりにするのではなく、発注者側も主体的にプロジェクトに関わる姿勢が求められます。
進捗報告は週に1回または月に2回など、頻度と方法(オンラインミーティングや報告書など)を事前に決める必要があります。開発工程を段階(マイルストーン)に分け、各段階の完了時に成果物を確認することで、手戻りを防ぎ、認識のずれを早期に修正できます。
連絡が途絶えた場合や品質に問題があった場合の対応、契約解除の条件なども事前に合意しておくことが重要です。
発注の際には「フリーランス法」を理解する
2024年11月1日から施行されている「フリーランス法」により、発注者はフリーランスに対し、業務内容、報酬額、支払期日を書面または電磁的方法で明示する義務があります。
報酬支払期日は、成果物受領日から60日以内で、できる限り短い期間内に設定する必要があります。また、一定期間以上の継続的な業務委託の場合、フリーランスに責任がないのに受領を拒否したり、報酬の減額や返品、内容変更ややり直しをさせる行為は禁止されています。これらのルールを遵守しない場合、国による助言や指導、勧告・公表、命令の対象となる可能性があります。
まとめ|アプリ開発を依頼するならイーポートもご検討ください
アプリ開発をフリーランスに依頼する際のメリット・デメリットと注意点を解説しました。フリーランスへの依頼は、コストを抑え迅速な開発が可能なため小規模プロジェクトに有効ですが、納期遅延や品質のばらつき、サポート体制の脆弱性などのデメリットも存在します。
品質や納期、長期的なサポートを重視するなら、株式会社イーポートへの相談もご検討ください。
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この記事を書いた人

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