iOSアプリ開発とLINEアプリ開発の違いをわかりやすく解説
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多くの企業が顧客接点強化のためアプリ開発を検討する中、多くの企業が頭を悩ませるのが、「iOSアプリ」と「LINEアプリ」のどちらを開発すべきか、という問題です。
本格的なネイティブアプリであるiOSアプリと、多くの人が利用するLINE上で動くアプリでは、開発の考え方や仕組みが全く異なります。両者の特性を理解せずに開発を進めると、期待した機能が実装できない等の失敗に繋がりかねません。
本記事では、両者の根本的な違いやメリット・デメリットと選ぶための判断基準を詳しく解説します。
iOSアプリ開発とは?
まずはiOSアプリについて、その特徴とメリット・デメリットについて解説します。
インストールが必要な「ネイティブアプリ」
iOSアプリとは、Apple社が提供するiPhoneやiPadといったデバイスで動作するアプリケーションです。一般的に「アプリ」と聞いて多くの方が想像するのが、このiOSアプリやAndroidアプリなどの「ネイティブアプリ」でしょう。
ユーザーはAppleの公式プラットフォームである「App Store」からアプリを検索し、自身のスマートフォンにダウンロード・インストールして使用します。ホーム画面にアプリアイコンが追加され、それをタップすることで起動します。
開発には、Appleが提供する統合開発環境「Xcode」を使用し、プログラミング言語は「Swift」や「Objective-C」が用いられます。これらの言語を使うことで、iPhoneが持つカメラ、GPS、プッシュ通知、ジャイロセンサーといったデバイス固有の機能を最大限に活用した、高品質でリッチなアプリケーションを開発することが可能です。
iOSアプリ開発のメリット・デメリット
メリット
- 機能の自由度が高い:デバイスの機能をフル活用できるため、複雑な処理や独自のUI/UX(ユーザー体験)を実現できます。本格的なゲーム、動画編集アプリ、業務効率化ツールなど、作れるアプリの幅は非常に幅広くなります。サクサクとした高速な動作が魅力で、オフラインでも動作するアプリを作ることもできます。
- ブランディング効果: オリジナルのアプリアイコンをユーザーのホーム画面に配置してもらうことで、企業の認知度向上やブランディングに繋がりやすくなります。
- マネタイズ手法の豊富さ: アプリ内課金や有料アプリとしての販売、アプリ内広告といった、多様な方法で収益化を目指せます。
- 女性若年層をターゲットにしやすい:国内スマートフォンのOS市場ではiOSのシェアが高く、約6割を占めています。特に若い世代や女性に人気があり、10代20代女性の8割以上が利用しているという調査結果もあります。したがって、ターゲット層によってはiOSアプリ開発が有利になるでしょう。
デメリット
- 開発コストと期間:高機能なアプリをゼロから作るため、LINEミニアプリに比べて開発費用は高額になり、開発期間も長くなる傾向があります。
- インストールの手間:ユーザーに検索してもらい、ダウンロード・インストールしてもらう必要があります。この手間が、利用開始までのハードルになることがあります。
- App Storeの審査:アプリを公開するには、Appleの厳格な審査を通過する必要があります。修正対応に時間がかかるケースも少なくありません。
- OSアップデートへの対応:定期的に行われるiOSのアップデートに合わせて、アプリのメンテナンスやアップデート対応が継続的に必要となります。
iOSアプリ開発については、こちらの記事も併せてお読みください。
LINEアプリ開発とは?
続いて、LINEアプリ開発について見ていきましょう。
LINEの中で動く「Webアプリ」
LINEアプリとは、コミュニケーションアプリ「LINE」のプラットフォーム上で動作するアプリケーションです。これは、iOSアプリのように単体で存在するものではなく、LINE公式アカウントと連携させて提供される機能拡張のようなイメージです。
正式には『LINEミニアプリ』や『LINE公式アカウント拡張機能』と呼ばれ、Webアプリケーションの技術をベースに開発されます。ユーザーはLINEアプリさえインストールしていれば、新たに別のアプリをダウンロードする必要はありません。LINE公式アカウントのプロフィール画面やトークルーム内のリッチメニューなどから直接起動し、予約や注文、問い合わせといったサービスをシームレスに利用できます。
LINEアプリ開発のメリット・デメリット
メリット
- インストール不要で手軽:ユーザーはアプリのダウンロードや会員登録の手間が必要なく、LINEアカウント情報を使ってすぐに利用を開始できます。利用へのハードルが非常に低いのが最大の強みです。
- 開発コスト・期間を抑制:iOSアプリ開発に比べて機能が限定的である分、開発コストは比較的安価で、期間も短く抑えられる傾向にあります。
- LINEの集客力を活用:国内で月間9,700万人以上(2023年12月時点)が利用するLINE上でサービスを提供できるため、圧倒的なユーザー基盤にアプローチできます。LINE広告やLINE公式アカウントからの誘導で、効率的な集客が可能です。
- 高い通知の開封率: LINEのメッセージ機能を通じてユーザーに通知を送れるため、メールマガジンなどに比べて開封率が高く、重要な情報を届けやすいという特長があります。
デメリット
- 機能やデザインの制約:あくまでLINEというプラットフォーム上で動くため、iOSアプリほど自由な機能実装やデザインのカスタマイズはできません。LINEが提供する機能の範囲内で開発する必要があります。
- LINEへの依存:LINEの仕様変更や規約改定の影響を直接受けます。万が一、LINEのサービスに大きな変更があった場合、ミニアプリの機能にも影響が及ぶ可能性があります。
- 独立したブランディングが難しい:ユーザーにとってはあくまで「LINEの中のサービス」という認識になりがちで、iOSアプリのように独立したブランドイメージを確立するのは比較的難しいと言えます。
LINEアプリ開発については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
iOSアプリとLINEアプリの違いまとめ
ここまで解説してきたiOSアプリとLINEミニアプリの違いを、一覧表にまとめました。両者の特性を比較し、自社の目的と照らし合わせてみてください。
比較項目 | iOSアプリ | LINEアプリ |
アプリの形態 | ネイティブアプリ | Webアプリ |
配信方法 | App Storeからダウンロード | LINE公式アカウントから提供 |
インストールの必要性 | 必要 | 不要 |
主な開発技術 | Swift, Objective-C | HTML, JavaScript |
開発コスト | 高額になる傾向 | 比較的安価 |
開発期間 | 長期間になる傾向 | 比較的短期間 |
機能の自由度 | 非常に高い (デバイス機能をフル活用) | 制約あり (LINEの仕様の範囲内) |
デザインの自由度 | 非常に高い (独自のUI/UXを構築可能) | 制約あり (LINEのUIに準拠) |
向いている目的 | ブランディング リッチな体験提供 複雑な機能実装 | 顧客の利便性向上 リピート促進 ライトなサービス提供 |
iOSアプリとLINEアプリどちらを作るべきか?選び方のポイント
それぞれの違いを理解した上で、どちらを選ぶべきかを判断するためのポイントを、具体的なケース別に解説します。
iOSアプリ開発が向いているケース
- 独自のブランドを確立したい企業:アパレルブランドや化粧品メーカーなど、デザインや世界観がビジネスの核となる場合、UI/UXを細部まで作り込めるiOSアプリが最適です。アプリを通じて、一貫したブランド体験を提供できます。
- 複雑な機能を提供したい企業:GPSと連携したマッチング機能、デバイスのセンサーを使った健康管理機能、高品質な3Dグラフィックを駆使したゲームなど、LINEミニアプリでは実現が難しい高度な機能を実装したい場合は、iOSアプリ一択となります。
- アプリで収益化を目指したい企業:アプリ内課金やサブスクリプションモデルでマネタイズを考えているなら、その仕組みが確立されているiOSアプリが向いています。
LINEミニアプリ開発が向いているケース
- 店舗ビジネスを運営している企業:飲食店や美容院、クリニックなどで導入すると、LINEで簡単に「予約」「順番待ち」「モバイルオーダー」「会員証提示」「ポイントカード」などが可能になります。顧客の利便性が飛躍的に向上し、リピート率アップに繋がるでしょう。
- LINE公式アカウントの友だちが多い企業:既存の友だち(顧客リスト)に対して、メッセージ配信だけでなく、より便利なサービスを提供したい場合に最適です。新たな集客コストをかけずに、顧客満足度とエンゲージメントを高められます。
- コストと時間をかけずに早くサービスを始めたい企業:「まずはスモールスタートで顧客の反応を見たい」という場合、開発をスピーディかつ比較的低コストで進められるLINEミニアプリが有効な選択肢となります。
まとめ|目的に合わせたアプリ開発を</h2>
本記事では、「iOSアプリ」と「LINEミニアプリ」の違いについて、それぞれの特徴から選び方のポイントまで詳しく解説しました。
「自社のビジネスモデルだと、どちらが合っているのだろう?」「企画段階から、専門家の意見を聞いてみたい」「具体的な開発費用やスケジュール感を知りたい」
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