アプリ開発費用はいくらかかるのか?維持費やコストを削減する方法も詳しく解説
公開日:2023年9月15日
アプリの開発にかかる費用は、制作会社や依頼内容、開発期間などによって大きく変動します。
この記事では、アプリ開発を検討している担当者に向け、開発費用の概要や内訳についてや、保守・運用コストがかかること、開発費用を抑える方法も解説します。
ぜひ、作成したいアプリの費用相場の参考にしてみてください。
アプリ開発費用の概要と見積もりの内訳
アプリの開発費用は、人件費と開発期間で算出されます。
開発したいアプリには実際にどのくらいのコストがかかるのか、まずはその概要と詳しい見積もりの内訳について解説していきましょう。
アプリ開発費用の概要
開発費を主に占めるコストの一つ「人件費」は、アプリ開発を担当するエンジニアへの報酬です。エンジニアの平均年収 は経済産業省のデータを参考に算出すると、約542万円。月収にすると約45万円となります。
アプリの開発規模が大きくなるのに比例してエンジニアの人数が増えれば、それだけ人件費も高くなります。
また、開発費を左右するもう一つの要素「開発期間」は、プロジェクトのスタートから完了までにかかる期間です。
例えば、エンジニア1人で開発期間が6ヶ月かかるアプリの開発費用を計算してみると、1ヶ月あたりの人件費(人月単価)が40〜50万円かかるため、下記の計算式の通り約240〜300万円となります。
40~50万円(1人1ヶ月あたりの人件費)×6ヶ月(開発期間)=240~300万円
実際にはエンジニア1人でなく、プロジェクトチームを組んで作業にあたるのが一般的です。
エンジニアやプログラマーのスキルや経験、開発会社の規模や評判、プロジェクトの複雑さや要件、地域の経済状況など、さまざまな要素が人月単価に影響を与えます。
アプリの種類ごとの開発費用相場は以下です。
コミュニケーションツール系 100~500万円
カタログ・フリーペーパー系 50~100万円
SNS位置情報系 500~1,000万円
管理ツール系 50~300万円
アプリ内課金・多言語・マップ対応 各10~20万円
チャットボット系 50万円~100万円
ゲーム系 300~1,000万円
ショッピングカート・EC 100~300万円
同種類のアプリでも搭載する機能や依頼する制作会社によっても費用は変わってきますが、基本的に、多くのエンジニアが長期間にわたってアプリ開発を行うほど費用がアップします。
実際のプロジェクトのコストには、その他にも多くの要素が複雑に関係してくるため、具体的な見積もりを依頼することが重要です。
アプリ開発の見積もりの内訳
人件費と開発期間以外にも、アプリ開発にはさまざまな費用が発生します。アプリ開発の見積もり内訳には、主に下記の項目があります。
・人件費
前述のとおり、アプリ開発費用は人件費と開発期間で算出されます。
アプリ開発を行うエンジニアの人件費は、スキルレベルや所属組織によって異なりますが、フリーランスや下請けプログラマーで約40万円〜60万円、大手プログラマーで約50万円〜100万円、初級システムエンジニアで約60万円〜100万円、上級システムエンジニアで100万円〜160万円が目安となります。
システムエンジニアはシステム開発の全体を管理するため、全工程分の工数がかかり、プログラマーはプログラミング工程のみの工数がかかります。基本的にプログラマーよりもシステムエンジニアのほうが費用は高くなります。
・開発期間、開発工程
開発期間は、アプリの開発スタートから納品までにかかる期間のことです。
シンプルなアプリで約1ヶ月~3ヶ月程度、一から作り上げる大規模なプロジェクトの場合には、1年以上かかることもあります。
また、アプリの開発工程は、開発業務を進める手順を示すものです。一般的なアプリ開発の工程は下記の流れになります。
1 要件定義
2 設計(外部設計・詳細設計)
3 開発(コーディング・プログラミング)
4 テスト(デバッグ)
5 リリース
開発費用の検討には、各開発工程の内容を十分に理解しておくことが重要です。
・デザイン費用
開発設計は、開発を担当するエンジニア、デザイナー、そしてプロジェクトのマネージャーで行い、開発言語やサイトのデザインを決定、アプリ開発仕様書を作成します。
全体のデザイン方針が決まれば、各ページの作成に進むこととなり、別途デザイン費用が必要になります。
制作会社に依頼する場合のデザイン費は、約15万円~20万円の基本料金+種類やページ数に応じた料金加算で算出され、月間約80万円~100万円ほどが相場となります。
・固定費用
人件費やデザイン費などの変動費に加え、固定費用も必要です。
主なものとして、開発の際のデータの管理や保管場所として利用するためのレンタルサーバー代が月額約20,000円、アプリを配布するためのアカウント登録費用として約3,000~12,000円がかかります。
その他、ドメイン取得費用やSSL証明書費用、機材・設備費用なども発生します。
・運用/保守費用
アプリは開発完了後リリースして終了ではなく、バグ発生時の修正対応などの運用・保守業務も重要です費用目安は、一般的なアプリであれば150万円程度です。
維持費と長期的コストの考慮
アプリ見積もりの内訳でも触れましたが、アプリ開発には初期の開発費とは別に、新機能を追加したり、アップデートに対応するなどアプリを維持していくための保守・運用コストがかかる点にも考慮しておく必要があります。
想定される維持費用として、以下の3つが挙げられます。
サーバー保守
サーバー保守には、アプリを稼働させるためのサーバー費用や、アプリに関係するサーバー、プッシュ通知、モバイル決済、APIなどのメンテナンス費用がかかります。
アプリの対応OSごとの担当エンジニアに加え、サーバー担当エンジニアの人件費が発生し、アプリ維持のためのコスト相場は年間開発費用の約20%を占めると言われています。
OSアップデート対応
アプリは各OSに合わせて開発されていますが、iOS・Androidともに定期的にアップデートされるため、仕様変更で受ける影響の把握と、アップデートへの対応が求められます。場合によっては、修正開発費が発生することもあります。
アップデート対応コストは、アプリの複雑さや修正度合いにもより異なりますが、1ヶ月あたり約10万円が目安とされています。
不具合修正
アプリにバグや不具合が見つかった場合は、迅速な修正対応が必要です。
テスト工程で不具合がないように対処しても、リリース後に細かい不具合が見つかることも多くあります。
不具合修正にかかる費用は修正規模に応じて変動し、重大なバグや大規模な修正が発生した場合には、別途数百万円の費用がかかる可能性もあります。
アプリ開発費用を削減する方法
これまでに解説してきたように、アプリ開発には大きな費用がかかります。少しでもコストを削減したいと考える方も多いのではないでしょうか。
ここでは、アプリ開発依頼の際に実施できるコストカットの方法を3つご紹介します。
要件定義を正しく設定
まず、アプリ開発費用を抑えるためには「要件定義」を正確に設定することが重要です。「要件定義」とは、依頼側の要望をまとめて開発方法を詳細に決めることです。
アプリの使用目的や機能、画面遷移などを決定し、完成後のイメージを明確に示すことで作業期間の見通しを立てやすくなり、修正工数を抑えた低コストでの開発が可能です。
この打ち合わせがしっかりできていないと、仕様変更や追加機能が必要になったり、開発途中での修正が増加します。想定外の工数増加や人件費拡大、開発期間の大幅な延長は、コスト増加につながってしまいます。
開発会社の担当者との打ち合わせを繰り返し行い、徹底的に要件定義を行いましょう。
レベニューシェアを検討する
2つめの方法は「レベニューシェア」を導入することです。
「レベニューシェア」とは、依頼者と制作会社がアプリ開発・運営費用を分担して、成果物による収益を依頼側と制作側で分配する方法で、近年Web業界で注目を集めています。
制作費用を2社で分担するので開発コストを削減でき、通常の開発よりも大規模なプロジェクトを実施しやすいのが特徴です。万が一売上・収益が大きく出なかった場合でも、赤字額を抑えられるメリットもあります。
クラウドでのアプリ開発を検討する
3つ目の方法は、クラウドでのアプリ開発を検討することです。
クラウドでの開発は、サーバー購入やシステム開発が不要で、開発に必要な機材を自社で調達する必要もありません。初期費用を大幅に抑えることができ、少額の投資で開発をスタートできる点は、コスト面での大きな利点です。
また、クラウドでの開発環境は、開発ツールや実行エンジンが仮想環境上に搭載されており、サーバーを利用することで開発手順の短縮が可能です。開発期間が短くなれば、その分費用の削減にもつながります。
すべての機能を実装できるわけではないため、しっかりと要件定義を行った上で、クラウド上での開発が可能な場合は選択肢に入れてみるとよいでしょう。
まとめ
- アプリ開発費用は、主に人件費と開発期間で算出される
- 人件費と開発期間の他、デザイン費や固定費なども必要
- リリース後も新機能追加やバグの修正など、維持費がかかる点にも注意
- 要件定義を正しく設定、レベニューシェアなどで開発費用の削減が可能
この記事を書いた人
- システム開発、アプリ開発に関する情報をお届けします。
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