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製造分野におけるDXの目指す姿「スマートサービス」とは?

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効率化・自動化が世界的に進められてきている今、製造業の分野でも、デジタル技術を活用して製造プロセスの最適化などを実現する「製造業DX」が注目を集めています。
製造業DXには生産効率の向上などのメリットがあり、独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)はそのための取り組みの1つとして「スマートサービス」を挙げています。

この記事では、スマートサービスの概要とスマートサービスの重要性を解説。スマートサービスを実践した具体的な事例も紹介します。

スマートサービスとは?

独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)は、中小規模製造業の製造分野におけるDXの目指す姿として、「スマートファクトリー」「スマートプロダクト」「スマートサービス」の3つを挙げています。

「スマートファクトリー」とは、自社または共同で製造を行う企業の工場内において、プロセスの最適化、効率化を目指した取り組みです。
全ての生産工程を見える化し、システムや生産設備をネットワークに接続することで、データ活用により生産の全体プロセスの最適化され、生産性の向上が実現できます。
「スマートプロダクト」とは、顧客に対して新たな製品を提供する取り組みです。機器類に通信ネットワークやセンサーを設置してデータ収集し、リアルタイムで情報提供したり、付加価値の高い製品開発を行ったりすることで、市場での競争力向上を目指します。

そして、この記事のテーマでもある「スマートサービス」とは、モノづくりからコトづくりで対価を得られるビジネスモデルへの変革です。
例えば、製品の使用状況のデータや顧客からの故障時のクレームデータなどをもとに、新たなサービスを展開するような例が挙げられます。
IPAでは、これら3つのうちどれか1つだけを目指すのではなく、DXを進めていく段階で追加・変更していくことを推奨しています。

例えば、最初は「スマートファクトリー」を中心に目指しつつ、並行して「スマートプロダクト」や「スマートサービス」に向けた取組みも一部で進めておき、その後「スマートファクトリー」がスムーズに進んだ段階で、「スマートプロダクト」や「スマートサービス」の取組みをさらに強化していく、といったような流れが現実的だと考えられます。

▼参考
独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) 「製造分野DXの理解 」

https://www.ipa.go.jp/digital/dx/mfg-dx/ug65p90000001kqv-att/000093470.pdf

スマートサービスの重要性

自社の商品に新しい価値を生み出すことができる「スマートサービス」は、製造業が成長を続けるため、そして生き残っていくために、重要な役割を果たすものです。

スマートサービスは、金型にメンテナンス機能を付加してメンテナンスサービスを行うなどの「モノ系」スマートサービスと、製造プロセスで蓄積した優位性のある製造技術をもとに、他の事業者へコンサルティングや計測、検査などを行う「モノづくり系」スマートサービスの大きく2種類に分けられます。
特に中小規模の製造業においては、現場の生産プロセスにおけるノウハウを強みとした「モノづくり系のスマートサービス」から取り組む企業が増えてくると予想されています。
さまざまなデータを活用し、ニーズに合わせた製品を作り出すことは、問題が発生する前の解決を可能にします。これは、新たな売上拡大につながり、ユーザーにとっても企業にとっても非常に有益な取り組みです。

物と物、人と物、人と人がネットワークにつながることにより、さまざまなサービスが提供され、生活をより豊かにするユビキタス社会。
そんな社会が現実化する未来を見越して、スマートサービスに投資してきた企業は、どの分野でも一際高い成長率を実現し、圧倒的な競争優位を築いています。

スマートサービスの事例

では、実際に企業ではどのようにスマートサービスに取り組んでいるのか、具体的な事例を紹介します。

オムロン株式会社では、工場の自動化のためのFA機器を展開しています。その一方で、国内の顧客企業で、工程設計や生産においてデジタル化の一連の流れを理解できる人材が不足しているという課題を抱えていました。
そこで、顧客企業に対し「生産管理」「品質管理」「設備効率」「エネルギー」の4つの切り口で展開する、 現場データ活用サービス「i-BELT」を提供。顧客の既存のデータや設備を活用できるデジタル化を提案しました。

これにより、従来は共有が難しかった個人の経験や勘に基づいた知識が、言葉や数式などで客観視できるようになり、スタッフのモチベーションも増加。
作業効率が安定化し、工具の摩耗量の削減、加工時間の削減などの効果を生むなど、大きな成果を上げています。

まとめ

  • 情報処理推進機構 (IPA)は、製造分野でのDXの目指す姿として「スマートファクトリー」「スマートプロダクト」「スマートサービス」の3つを挙げている
  • 自社商品に新しい価値を生み出す「スマートサービス」は、製造業が成長を続けるために重要な役割を果たすもの
  • 現場データを活用したデジタル化で、作業効率が安定化するなど大きな成果を上げた具体的な事例も
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