製造業でもDXが重要?推進のポイントや成功事例をご紹介
公開日:2022年1月13日
製造業でもDXが重要?推進のポイントや成功事例をご紹介
製造業に携わる方からよくお聞きする話題は、「人手不足」や「長時間労働がなかなか解消できない」といった問題です。
その労働問題を根本から解決するキーになるかも知れないと、今、注目を集めているものが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
DXを製造業に導入できれば、大幅な業務効率化ができるため、人出不足や労働時間問題にも大きな効果を得られると考えられます。
しかし、
- 「DXを始めたいが、何から手を付けていいのかわからない」
- 「わが社にDXを導入すると、何がどう変わるのか想像がつかない」
と思っている方も少なくありません。
そこで今回は、現在の製造業の持つ課題を解説し、DXを導入するポイントや、これまで導入して成功した企業の事例をご紹介したいと思います。
製造業の課題とは
製造業DXを考える前に、自社の状況と課題を把握しておく必要があります。
製造業によくある課題の中から、以下の3つをピックアップしました。
- 慢性的な人材不足
- 作業の属人化が進んでいる
- ITの活用ができていない
それぞれ詳しく解説したいと思います。
①慢性的な人材不足
人出不足は、今やどの業界でも抱えている問題なのですが、特に製造業は慢性的な人手不足に長年悩まされています。
経済産業省・厚生労働省・文部科学省が令和2年に発表した「2020年版 ものづくり白書」によりますと、2002年から2019年にかけて、製造業に従事する就業者の数が1,202万人から1,063万人に減少していると報告されています。割合にすると11.6%の減少です。
人口減少に伴い、今後も回復することなく減少が続くと見られています。
②作業の属人化が進んでいる
業務の詳細内容や進め方が、特定の社員しか分からなくなってしまう状態です。
その社員が、急に休むことになったり退職したりした場合、その業務が滞ってしまいます。
この属人化現象は、製造業に限らずさまざまな業界で起きている問題なのですが、中でも製造業は特に属人化が起きやすい業界です。
その理由は、習得に時間がかかる専門的な技術が多々あるため、その技術を引き継ぐ人員が不足しがちで、特定の人だけしかその技術のことが分からない状況ができてしまうからです。
作業の属人化を防ぐためには、DX化によって業務の平準化と技術のデータ化を進めていく必要があります。
③ITの活用がうまくできていない
製造業では、長年引き継がれてきた文化が根付いている企業が多いため、代々使われているシステムを長年使い続け、また、そのシステムを使っている社員も、使い方に慣れているからという理由で、新しいシステムを導入を嫌がる傾向があります。
古くから使われているシステム(レガシーシステム)は、経済産業省が警告している「2025年の崖」における最重要課題となっており、多くの経済的損失につながるとしています。
レガシーシステムはDX化を妨げる大きな要因です。
まずは、導入が簡単で、それを使う人にとっても抵抗なく切り替えられるITツールの導入をおすすめしたいです。
製造業DXを成功させるために必要な5つのポイント
製造業DXを成功させるためには、主に以下5つのポイントがあります。
- DXへの理解を深める
- DX人材の育成
- DXを目的にしない
- 全社的に進めていく
ポイント1:DXへの理解を深める
DXは、経済産業省が推進しているということもあり名前はよく知られているのですが、実際どういうことをすればいいか理解されておらず、「DXを進めたくても何から手を付けていいか分からない」という声が上がっています。
難しく考えず、まずは現在社内で何が問題になっているのかをリストアップするところから始めていただきたいです。
DXを始めるにあたり、ITツールやシステムの専門家に相談する事になるかと思いますが、その専門家に先ほどのリストを見せてください。
そうすると、専門家側は、DXによって解決できることは何かということの説明や、解決案の具体的な提案を出してくれます。
自社の抱える問題を題材に専門家と話し合うことで、DXで何ができるのか、また、何ができないのかということが分かり、DXへの理解がより深まります。
ポイント2:社内でDXについて分かる人材を育成する
DX推進では、ITツールやシステムの専門家と話し合いながら進めていくことになりますが、その専門家との話し合いのために、社内にDXに関する知識を持った担当がいると、スムーズにDX導入が進みます。
進め方のスケジュール作成、部署間の意見調整、要望のとりまとめといった社内調整、また、導入後はシステムの使い方の指導や不具合があったときのシステム製作者側への連絡などが必要になります。
社内でDX人材の育成をするためには、専門知識を教える教育環境も整えていかなければなりません。しかし、社内で教育環境が整えられないという場合には、外部からシステム担当を雇うという方法もあります。中小企業の場合は、システム担当を外注するというケースが非常に多いです。
ポイント3:DXを目的にしない
DXは、ITツールやシステムを使いこなせてこそ、業務効率化を実現できます。最新の技術を導入しても、かえって現場が混乱して業務が滞ってしまうようならば、別のシステム、別の方法を考えたほうが良いでしょう。
しかし、トップダウンでDXを進めていく中で、現場の業務効率化の実現よりも、最新のツールやシステムを導入したいというトップの意向がいつの間にか優先されてしまうケースがあるのです。
DXを進めるにあたって、当初の目的である「現場の業務効率化」を忘れないことが大切です。
ポイント4:社内全体に広まるように進めていく
製造業DXは、システムの規模によって社内全体に影響を及ぼす可能性があります。その際、特定の部署の人間だけではなく、全部署でリーダーを立てて共通認識を持ちながら進める事が重要です。
特定の部署だけで進めてしまった場合、いざ導入を進めていこうという段階で、他の部署に影響する重要な部分が抜け漏れていることが発覚し、導入が途中でストップしてしまうケースがあります。
製造業DXを成功させるためには、部署間で話し合いを重ね、現場の意見も汲み取りながら行いましょう。
製造業DXを成功させた事例
- 株式会社ハマヤ
- 株式会社今野製作所
事例1:株式会社ハマヤトヨタ自動車株式会社
ハマヤは、手芸用品の卸売を手掛ける企業で、手芸ファンの間では名前が良く知られています。
そんなハマヤでは、電話・電卓・手書きの複写伝票の「三種の神器」を中心に、昔から続くアナログで業務を進めていました。
しかし、在庫管理や売上はデータ化されておらず、担当者だけが分かるという業務が山積していました。
1年かけて社長と社員を説得し、属人化している業務の把握を徐々に進め、DXを進めていきました。
結果的に、Googleスプレッドシートを活用した帳票の台帳管理システムを導入し、年間720時間の労働時間削減につなげたのです。
急速なDX推進に不満を持った従業員が反発するケースもあったのですが、ITに精通した人物を社員に採用することにより、徐々にDXに関する考えが浸透していきました。
その後は、ハマヤが社内DXに成功したという評判が広がっていき、新規事業としてDXに関するITコンサルを新規事業として立ち上げました。(参考:アナログ「三種の神器」に衝撃 手芸屋4代目がDXを浸透させた手法)
事例2:株式会社今野製作所
2つ目の成功事例は、株式会社今野製作所です。
今野製作所では、事業規模が小さかったにも関わらず、さまざまな生産形態を取っていたため業務プロセスが複雑化していました。そのため作業の属人化が促進されていき、特定個人への負荷の集中や納期遅れにつながったのです。
そこで、複雑化した業務プロセスやエンジニアリングプロセスを可視化し、人材不足や業務プロセスを改善していきました。(参考:製造業DX取組事例集)
まとめ
今回は、製造業における現状の課題を解説し、DX推進のポイントや成功事例をご紹介しました。
製造業は慢性的な人手不足に悩まされており、製造業DXによって業務効率化を実現していく必要があります。
しかし、DX化を進めていこうと思っても「DXを理解した人材が以内から何から手を付けるべきかが分からない」と悩む企業も多いのではないでしょうか。
イーポートでは、製造業のDX化を支援しております。そのほか、ものづくり補助金を活用したシステム開発も可能としているため、是非ご相談ください。
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