アクセス解析ツール、Googleアナリティクス4についてどこよりも詳しく
公開日:2021年10月26日
Googleアナリティクス4が正式リリースされてから、1年が経ちました。
従来版ユニバーサルアナリティクスも利用できるので、GA4はまだ使っていないという方もいるのではないでしょうか。
今回はGoogleアナリティクス4について、詳しく説明したいと思います。
従来版のユニバーサルアナリティクスとの違いや、メリット・デメリットを掘り下げ、導入方法と導入時期についても解説していきます。
Gogoleアナリティクス4の特徴とは?
Googleアナリティクス4は、2020年10月にリリースされました。
正式名称は「Googleアナリティクス4プロパティ」で、略称のGA4で呼ばれることもあります。
いま多くの方が使っているグーグルアナリティクスは「ユニバーサルアナリティクス(UA)」です。
Googleアナリティクス4が開発された理由は、ユニバーサルアナリティクスには弱点があったからです。その弱点とは次のようなものです。
- 計測時に使用していたCookieが、個人情報利用の規制強化によりが利用しにくくなっている
- スマートフォンアプリや動画は計測ができない
- イト・アプリ間のユーザーの動きを解析できる営業・集客支援ツール(※)が新しく登場し、ユニバーサルアナリティクスより広い分野の解析ができるようになってきた。
※営業・集客支援ツールとは、MA・SFAツール等のことを指します
これらの弱点を補うため、Googleアナリティクス4が開発されたと思われます。
では、従来のユニバーサルアナリティクスとは、具体的にどのように違うのでしょうか。そして、どのような改善が行われたのでしょうか。
Googleアナリティクス4とユニバーサルアナリティクス(従来版)の違いはどんなもの?
主な違いは、ユニバーサルアナリティクスは、ユーザーの動きを「点」で捉えていて、Googleアナリティクス4は「線」で解析していることです。
点での解析:「直帰率」「平均閲覧ページ数」「ユーザーの滞在時間」といった、「ページ」と「セッション」を中心にした解析。
Googleアナリティクス4の解析
線での解析:ページではなく、ユーザーが行動した履歴を追跡する解析
ユニバーサルアナリティクスの解析は、「セッション」と「ページ」が中心です。ユーザーがサイト閲覧開始から終了まで、たどったページが解析の中心となります。しかしこの方法は、ページに依存しない「アプリ」の場合、正しい解析ができません。
また、ページに動画が含まれる場合も、適切な解析ができません。セッションとページを軸にすると、動画の視聴時間を解析に反映しにくいためです。
それに対してGoogleアナリティクス4の解析は、ユーザーが行動した履歴を軸にしています。ユーザーの行動を「イベント」として計測することで、ユーザーの流れや、複雑な動きも分かるようになりました。
Googleアナリティクス4のメリット・デメリット
Googleアナリティクス4のメリットとは
主なメリットはこの3つです。
- 個人情報を保護しながら、ユーザーの行動全体を計測できる。
- サイトとアプリを横断的に解析できる。
- デバイス・ブラウザが違っても同じ人を特定できる。
- 機械学習により未来のアクセス予測ができやすい。
一つずつ解説していきます。
メリット1 Cookieを使わないから、個人情報強化されていても計測ができる
近年の個人情報保護強化の流れにより、Cookieの利用が規制されるようになりました。
具体的に、Cookie利用のどの部分の規制が厳しくなっているのでしょうか。そして、Cookie規制が、ユニバーサルアナリティクスにどう関係してくるのでしょう
か。
今さら聞けない?Cookieとは何か
Cookieは、以下の2種類があります。規制対象となるのは、サードパーティーCookieです。
ファーストパーティーCookie
ユーザーが見ているウェブサイトのドメインから発行されたCookieです。このCookieが設置されたページを複数回訪れたユーザーに対して、働きかけることができます。
例)ネットショップで買い物をしようとして、カートに商品を入れまま購入せず離脱して、数日後そのページを訪れたときに、カートの中に商品が残っていた。
サードパーティーCookie
ユーザーが見ているウェブサイト以外の第三者が発行したCookieです。複数のサイトを横断しているユーザー、つまりネットサーフィンしているユーザーの動きを追跡します。
例)ネットショップで買い物をしようとして、カートに商品を入れたまま離脱。そのあと、別のサイトを見ているときに、先ほど購入しなかった商品の広告バナーが表示された。
プライバシー問題によるCookie規制とは
ユニバーサルアナリティクスでは、主にサードパーティーCookieを利用します。
サードパーティーCookieを利用し、複数のサイトを横断するユーザーの追跡を行っています。しかし、このサードパーティーCookieが、プライバシー侵害になるとの見方が強まっています。
そのため、世界的に法改正による規制強化が進みつつあります。すでにEU諸国は、2018年に一般データ保護規則(GDPR)による規制を開始しました。日本でも、2022年に施行される改正個人情報保護法で規制を開始します。日本では、法改正後にCookieを利用するためには、事前にユーザーの許可が必要です。
Googleアナリティクス4は、このCookie問題を回避
個人情報の規制により、難しくなるのがユーザーの行動を把握することです。この規制により、ユニバーサルアナリティクスは、サイト間を移動するユーザーの行動を計測しようとすると、制限がかかってしまいます。
そこで、Cookieの情報規制の解決策となるのがGoogleアナリティクス4です。
Googleアナリティクス4は、Cookieを使わずに異なるサイト間のユーザーの動きを追跡できます。ユーザーがGoogleアカウントにログインしていれば、ユーザーを追跡可能です。
メリット2ウェブサイト、アプリ、動画など様々なメディアを横断的に解析
Googleアナリティクス4は、イベント、つまりユーザーの行動を軸にした解析を行います。
ウェブサイトとアプリ間の移動や、アプリ内の行動も解析が可能です。
動画の視聴時間も計測できます。
現在の、スマートフォン中心の時流にはこれら計測は必須です。
メリット3 デバイスやブラウザを変えても同一人物を特定できる
これは、ユーザーがGoogleアカウントを利用している場合に限ります。
多くの人が、一人で複数のデバイスを所有し、使い分けています。
また、Google Chrome、Safari、Microsoft Edgeなど複数のブラウザを使っていることもあります。
ユニバーサルアナリティクスの弱点は、個人が複数のデバイス・ブラウザを使っていた場合のアクセス解析です。同じ人が違うデバイス・ブラウザからアクセスした場合、「新規アクセス」と認識するので、別の人とみなしてしまいます。
一人複数のデバイスを持つ現代、これでは正しい計測・解析ができません。
それに対して、Googleアナリティクス4は、Googleアカウントにログインしていれば、違うデバイス・ブラウザでも同一人物の利用かどうかを判別できます。
新旧アナリティクスで同一ユーザーが複数のデバイスからアクセスした場合の違い
※ユーザーがGoogleアカウントを利用している場合
上図のように、同じ人がデバイスを変えてアクセスした場合に大きな差が生まれます。
※ユーザーがGoogleアカウントを利用している場合
ユニバーサルアナリティクスは、「3名×新規アクセス1回」と誤った認識をします。それに対して、Googleアナリティクス4は「1名×3回アクセス」と正しい認識が可能です。
メリット4 機械学習によりユーザーの未来の行動予測ができる
Googleアナリティクス4の新機能の一つが、「アナリティクスインサイト」です。
データに、通常と異なる変化や新しい傾向が出てきた場合、それを検出してダッシュボードに通知されます。
アナリティクスインサイトの種類は、以下の2つです。
自動インサイト
データの異常な変化や新たな傾向を自動的に検出するインサイトです。アクセス数の急増・急減など、異常な変化や新たな発見の早期発見が期待できます。
カスタムインサイト
「購買の法則」発見に活用できるインサイトです。ユーザーがデータ検出条件を設定可能です。データが蓄積すると、Googleが「奨励カスタムインサイト」として提案してくれます。購買の法則の発見により、期待できるのが効率的な集客への活用です。
これによって、ユーザーの未来の行動も予測できるようになります。
例えば、「この行動をしていると数日以内に購入するだろう」とか、「この行動をしているユーザーは今後アクセスしなくなるだろう」などです。
Googleアナリティクス4のデメリット
デメリット1 GA4の機能を覚えるために時間がかかる
Googleアナリティクス4は、ユニバーサルアナリティクスとは機能・使用法が異なります。そのため、一から使用方法の習得が必要です。慣れるまでに少し時間がかかります。
デメリット2 ユニバーサルアナリティクスからGA4へデータを移行できない
Googleアナリティクス4は、ユニバーサルアナリティクスのアップデート版ではありません。ユニバーサルアナリティクスの弱点を補うため、別に開発されたツールです。そのため、機能の違いにより、データの移行ができません。これまで蓄積したデータを移行することができないので、Googleアナリティクス4にデータを蓄積するための期間が必要です。
デメリット3 Googleサーチコンソールとの連携ができない
ユニバーサルアナリティクスでは、Googleサーチコンソールのデータと連携可能です。しかし、このGoogleアナリティクス4では、2021年10月現在、連携できません。そのため、サイト閲覧前後の状態を把握できません。今後、連携できる可能性も考えられるので、現時点でのデメリットと言えます。
GA4の導入方法と導入の時期のおすすめは?
Googleアナリティクス4の導入方法
Googleアナリティクス4の導入には、Googleの設定が必要となります。既にユニバーサルアナリティクスを導入していれば、設定は簡単です。
今回は、ユニバーサルアナリティクスを導入済みの方向けに、設定方法を説明します。
①Googleアナリティクス「ホーム」画面から、「管理」を選択する
②「管理」画面が表示されたら、「GA4アシスタント」を選択する
③「GA4アシスタント」画面が表示される
④「新しいGoogleアナリティクス4プロパティを作成する」画面が表示される
「プロパティを作成」を選択し、GA4のプロパティ作成は完了です。
尚、⑤の「現在のタグ設定では、GA4を使用するために新しいタグをサイトに実装する
必要があります」と表示された場合、サイトにタグの設定が必要です。
⑥「新しいGoogleアナリティクス4プロパティ」画面が閉じる
下に作成されたGAの「GAプロパティ名」と「プロパティID」が表示される。
⑦「GAプロパティの機能の確認と設定を行う」の「GAプロパティを確認」を選択する
⑧「アシスタントの設定」画面が表示されるので、設定の確認を行う
左上のグラフのアイコン(レポート)を選択する
作成したGoogleアナリティクス4のレポート画面が表示される。
⑩Googleアナリティクス4のレポートのスナップショット画面が表示される
※まだ作成直後で、データの蓄積がないのでデータは全てゼロです。
⑪Googleアナリティクス4とユニバーサルアナリティクスの切り替えは、自由に行えます。
切り替えは、上部の「すべてのアカウント」を選択して行います。
Googleアナリティクス4導入の時期のおすすめはいつ?
Googleアナリティクス4は、お早めの導入をおすすめします。なぜなら、導入に関するデメリットがほとんどないからです。最初の設定さえ行えば新旧アナリティクスの切り替えは、わずか数クリックです。
新旧アナリティクスは併用ができるので、両方の「いいとこ取り」ができます。
早く導入すべき理由は、以下の特徴にもあります。
- ユニバーサルアナリティクスからデータ移行をできないため、データ蓄積期間が必要
- 購買の法則を発見できるアナリティクスインサイトにも、データの蓄積が必要
Googleアナリティクス4は、まだまだ発展途上です。
今後、新たな機能が追加されたり、機能改善もされていくはずです。
早く導入することで、最新機能のメリットをいち早くサイトに反映させていくこともできます。
この記事を書いた人
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