2025年の崖とは?経済産業省DXレポートをわかりやすく解説
公開日:2021年11月23日
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉はをよく聞いてはいるものの、具体的には何をすることなのか分かりづらいという声をよく聞きます。
DXを進めることで、企業の業務効率化、売上増加などさまざまなメリットを得ることができます。
このDXを企業内で推進しないことで「2025年の崖」と呼ばれる課題が発生する可能性があると言われています。
そこで今回は、経済産業省が発表したDXレポートを元に、DXの内容と2025年の崖について詳しく解説します。
DXとは何か
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。
デジタルツールを駆使して、我々の生活をより良いものに向上させていく考えのことです。
現在、経済産業省が社内のDXを推進していることもあり、多くの企業でDXの導入を検討しています。
一例を挙げますと、社内にサーバーを置いて運用する場合、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行したり、Excelなどで管理しているデータをWEBシステムに置き換えたりするなどです。
DXが推進されることで、企業の課題が解決され、業務効率が向上し、企業にとっても働く人にとってもより便利になることでしょう。
経済産業省が発表した「DXレポート」と「DX推進ガイドライン」
経済産業省では、DXの推進に伴って「DXレポート」と「DX推進ガイドライン」を発表しています。
ここでは、それぞれの概要を解説しましょう。
DXレポートとは?
DXレポートとは、平成30年9月7日に経済産業省が発表したもので、企業で活用されるITシステムの課題や解決方法などがまとめられているものです。
レポートでは、古くから運用されている「レガシーシステム」が残り続けることで、社内DXを推進するときの足枷になると解説しています。
他にも、レガシーシステムは担当者以外のメンテナンスが困難になっているケースが多く、レガシーシステムの維持や改修に大きな人的コストがかかっているとも述べているのです。
経済産業省が作成した「DX推進ガイドライン」
DX推進ガイドラインとは、先述したDXレポートで触れていたさまざまな課題に対して、DXを推進するうえで重要となるアクションプランを記載したものです。
DX推進ガイドラインは次の2項目で構成されています。
- DX推進のための経営のあり方、仕組み
- DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
経営層がDXに対する理解を深めるところから、実際の体制づくりまで幅広く記載しています。
ガイドラインでは、それぞれの項目について解説しているだけではなく、導入事例や失敗事例などにも触れているため、実践に近い形で詳しく学べます。
何が起きる?「2025年の崖」とは
2025年の崖とは、社内DX化が上手く推進されなかった場合に怒る可能性のある経済的損失を表しています。
具体的には、企業に古いシステム、つまりレガシーシステムが残ってしまった場合に起る経済損失は、2025年までに最大で12兆円にも達すると言われていますす。
経済損失につながる要素としては、主に2つ考えられます。
1つ目は、レガシーシステムの内容を一部の担当者しか把握していないという「属人化」がされてしまうことです。
担当者が退職などで不在になる場合に、引継ぎ作業に時間がかかったり、引き継ぎ漏れなどがあった場合に企業の負担が大きくかかってしまいます。
レガシーシステムは、全社で使用するシステムだけではなく、一部の部署だけが使用しているシステムであるケースが多いです。一部部署内だけが使用していたシステムは、担当者が不在になると全容が把握しにくくなるため、新しいシステムに刷新しようとする場合、旧システムの全容を一から洗い出すという作業から手を付けなければならなりません。そのため、作業コストが大きくなってしまいます。この負担が大きすぎるため、新システムの開発をあきらめ、レガシーシステムを長年使用せざるを得ないという企業も少なくありません。
2つ目は、レガシーシステムに十分なセキュリティ対策が施されておらず、情報漏洩などのセキュリティ事故によって社会的地位の欠落や企業損失につながる恐れがあることです。
レガシーシステムは、ハードウェアやソフトウェアの老朽化によってOSのアップデートが十分にされていない場合があります。
最新の状態にアップデートされていないことで、脆弱性が潜んだままのシステムとなってしまい、サイバー攻撃の標的になる可能性が高まってしいます。
サイバー攻撃の影響は、近年猛威をふるっている「ランサムウェア」ウイルスの被害によって多額の身代金を請求されたり、個人情報の流出によって賠償金を支払わなければならなくなったりするケースがあります。
2025年の崖を解消するためにも、DX推進ガイドラインをベースに社内DXを進めていく必要があるでしょう。
更なるアップデートを果たした「DXレポート2」とは
経済産業省では、DXレポートを発表した2年後に「DXレポート2」を公表しました。
DXレポート2は、DXレポート発表後の現状についてまとめたものです。
レポートでは、主に以下の点を記載しています。
- DX施策の結果
- DXの本質
- DXの重要性
DX施策の結果
DXレポートを発表した2018年以降では、国内企業の9割以上がDX推進に未着手、または、着手していても進んでいないのが現状です。
推進が遅れている原因としては、「DX=レガシーシステムの刷新」というイメージが先行してしまい、DXの本質を捉えきれていないことにが挙げられます。
DX推進は、システムの刷新によって社内全体のシステムを部署間で横断可能なものにし、データの活用や業務効率化につなげるのが目的の一つです。
しかし、システムの刷新がだけが目的になってしまうと、新しいシステムを導入した結果、旧システムの良いところが引き継がれていない、または、旧システムに慣れているため新しいシステムが活用できず、使わなくなってしまうなど、以前よりも不便になってしまうことがあります。
DXの本質とは、新しいシステムを導入だけではない
DXレポートでは、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが浸透していき、DXの本質が明らかになったと解説しています。
DXの本質とは、日々変化し続ける社会に対応するためのITシステムを導入するだけではなく、それに伴って企業文化も変革し続けることです。
企業では、書類への押印文化や対面での営業といった昔ながらの文化が根強く残っていました。
しかし、コロナ禍によって先送りしていた課題が一気に露見したのです。
企業では、DXに伴うシステム刷新だけではなく、企業文化の変革もしていかなければならないでしょう。
コロナ禍で浮き彫りになった、DXの重要性
今までは、オフラインの営業や活動を通じて顧客へ価値を与えるケースが多く見られました。
しかし、コロナ禍によって顧客の活動自体がオンラインへと移行され始めたいるため、ビジネスにおいても活動の主体をオンラインへと移行しなければならないのです。
また、こうしたデジタル領域への進出は、企業の変革をサポートするパートナー企業においても同様であり、ITシステム構築をしてきたベンダー企業でも求められるでしょう。
まとめ
今回は、経済産業省が公表しているDXレポートで問題視されている「2025年の崖」について解説しました。
2025年の崖は、レガシーシステムの残存によって経済損失が発生してしまうことです。これから社内DXを進めていきたい企業は、レガシーシステムを刷新できるようにITシステムの見直しだけではなく、社内文化の変革も行っていきましょう。
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この記事を書いた人
- ウェブサイト制作も営業もディレクションもライティングもマーケティングも、何でも絡んでみたくなるオタク気質な姐さん社員