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プライバシーマーク制度の意義とは。なぜPマークの取得が必要なのか?

公開日:2023年8月30日

2022年4月より改正個人情報保護法が施行され、事業者側の責務の追加、違反に対する罰則の厳罰化などが盛り込まれました。
個人情報の適正管理に対する意識が高まる中、改めて注目されているのがプライバシーマーク(Pマーク)制度です。
本記事では、プライバシーマーク制度の意義と、プライバシーマークを取得するにあたってのポイントや注意点を詳しく解説します。

プライバシーマーク制度とは何か?

プライバシーマーク制度とは、個人情報を適切に取り扱う体制を整備している事業者に対してプライバシーマークを付与する認証制度です。
「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に準拠した「プライバシーマークにおける個人情報保護マネジメントシステム構築・運用指針」に基づいて、個人情報保護マネジメントシステムを構築・運用している事業者を評価します。
プライバシーマークを付与された事業者は、事業活動にプライバシーマークを使用できます。
制度を運営する一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は、プライバシーマーク制度の目的として次の項目を挙げています。
・ 消費者の目に見えるプライバシーマークで示すことによって、個人情報の保護に関する消費者の意識の向上を図ること
・ 適切な個人情報の取扱いを推進することによって、消費者の個人情報の保護意識の高まりにこたえ、社会的な信用を得るためのインセンティブを事業者に与えること

参考

引用:一般財団法人日本情報経済社会推進協会 プライバシーマーク制度について 概要と目的
https://privacymark.jp/system/about/outline_and_purpose.html

プライバシーマークを取得することが求められる理由とは?

なぜプライバシーマーク制度が創設されて取得されるようになっていったのか、その背景を説明します。

個人情報保護に関する世界的な動向への対応

1980年代以降に個人情報の保護に関する意識が高まり制度化が進んだ西欧諸国に対して、日本では個人情報保護の制度は確立されていませんでした。
そのような状況で日本に大きな影響を与えたのが、欧州連合(EU)が1995年に決議した「EUデータ保護指令」です。
指令の第25条は個人情報の保護措置がEUデータ保護指令の水準を満たしていない第三国やその国の企業への個人データの移転を禁止するものでした。
これを受けて、日本でも1997年に「個人情報保護に関するガイドライン」が制定されます。
このガイドラインに適合しているかどうかを第三者の視点で評価するために1998年に創設されたのがプライバシーマーク制度です。
プライバシーマークは世界的な個人情報保護の動向に対応した取り組みを実施している証明として、事業者による取得が進んでいます。

社会的信用力の向上

プライバシーマークの取得は、企業の社会的な信用を向上させます。
信用が向上することは、ビジネスの機会の増加につながります。
プライバシーマークを持つ企業が相手であれば、安心して個人情報を預けて取引できるからです。
例えば、消費者は企業のパンフレットや広告、Webサイト、名刺などに表示されたプライバシーマークを見て、この企業は適切に個人情報を取り扱っていると判断します。
取引相手が企業や官公庁である場合は、事業参入機会が増える可能性があります。
実際に、取引先企業にプライバシーマークの取得を要請する企業があったり、官公庁の入札要件にプライバシーマークの取得を挙げていたりする例があるからです。
このようにプライバシーマークの取得によって企業の社会的信用が高まり、相手との取引の増加が期待できます。

プライバシーマークを取得するためのポイントと注意すべきこと

プライバシーマークを取得するにあたって検討しておくべきこと、実際に取得した後の注意事項を解説します。

適用範囲や取得するメリットは国内に限定

プライバシーマークを取得する際は、国内外の取引がどのくらい占めているのかを考慮すべきです。
プライバシーマークは日本国内の事業者が対象であり、適用範囲も国内に限定されているからです。
企業が構築する個人情報保護マネジメントシステム(PMS)はJIS Q 15001に基づいたものであり、国際基準であるISOには基づいていません。
このため、プライバシーマークを取得しても、海外との取引においては何か優遇されるといったことはありません。
国際取引が多い企業は、国際的に整合性のとれた情報セキュリティマネジメントシステムに対する第三者適合性評価制度であるISO27001(ISMS)を取得した方がメリットが多くなります。
社内のセキュリティマネジメントシステムを検討する際には、どの基準に基づいて構築したらよいのかを事前に考える必要があります。

取得は自力でも外部コンサルタントへの依頼でも可能

プライバシーマークの取得は、自力で取得する方法と、外部コンサルタントに依頼する方法があります。
以下のメリットとデメリットを考慮して検討するとよいでしょう。

外部コンサルタントに依頼する場合は、複数のコンサルタントの業種別実績なども調べた上で業界の知識や理解のある適任者を選ぶこともポイントです。

有効期間と更新時の注意点

プライバシーマーク付与の有効期間は2年間です。
以降は2年ごとに更新できますが、更新手続きにはいくつか注意点があります。
更新期間は「有効期間が満了する8か月前~4か月前の日まで」となっています。
このため、早めに更新申請書類を準備して提出しなければなりません。
なお、2年間の付与契約が終了したにもかかわらず、プライバシーマークの使用を続けると不正使用となります。
JIPDECはプライバシーマークの不正使用事業者に対して必要に応じ法的措置を講じることも含め対処すると発表していますので、忘れずに更新手続きを行うようにしましょう。

従業員教育の継続的な実施

プライバシーマークを取得し維持するためには、最低でも1年に1回は従業員に対する個人情報保護教育を実施する必要があります。
教育の内容はJIS Q 15001:2017に次のように定められています。

・ 個人情報保護方針(内部向け個人情報保護方針及び外部向け個人情報保護方針)
・ 個人情報保護マネジメントシステムに適合することの重要性及び利点
・ 個人情報保護マネジメントシステムに適合するための役割及び責任
・ 個人情報保護マネジメントシステムに違反した際に予想される結果情報漏洩は、人的ミスが原因で多く発生しています。

従業員に対する教育を通して社内全体の個人情報の取り扱いに関する意識を向上させることは、会社全体としてのリスクの軽減につながります。

消費者との信頼関係を築くために、プライバシー保護に取り組もう

前述のように、プライバシーマークの取得は社会信用の向上につながります。
株式会社オウチーノが2015年に実施した「Webサービス利用時の個人情報登録に関するアンケート調査」では、個人情報を登録する際にどのような会社であれば信頼できるかという質問に対して「運営会社がプライバシーマークを取得している」を回答者の50.5%が選択しました。
これは「会社名を知っている」、「入力した情報が、暗号化されて送信されることが明記されている」に続いて多く、プライバシーマークの信頼性が高いことが伺えます。
実際に、プライバシーマークを取得している事業者のほとんどはサービス業です。
個人情報保護の対策を講じて、それをわかりやすい形で表示している企業は、消費者からの信頼が高まります。
業務の中で個人情報を取り扱う機会の多い事業者はプライバシーマークを取得し、顧客との強い信頼関係を構築・維持していくとよいでしょう。

参考

PR Times Webサービス利用時の個人情報登録に関する意識調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000014097.html

まとめ

プライバシーマーク制度は、個人情報を扱う事業者が適切な措置を講じていることを示す認証です。
プライバシーマークの取得は企業の社会的信用を向上させ、消費者や取引企業とのビジネスの機会の増加につながります。
個人情報漏洩といったリスクが高まる中、顧客との強い信頼関係を築いていくためにはプライバシーマークに代表される個人情報保護の体制整備は不可欠です。
取得にかかるコストや注意点など、本記事で紹介したポイントを押さえてプライバシーマークの取得を検討してみてください。

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