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2022年1月から変わる!知っておきたい電子帳簿保存法

公開日:2021年11月29日

企業の経理担当者様にとって、経理関連書類の電子化は重要事項ではないでしょうか。請求書や領収書など、電子データ化できれば管理しやすくなります。その一方で、保存用の機械の操作方法を覚えるなど、事務方にとってはさまざまな準備が必要です。

経営者様にとっても、税務関連書類の電子化は大きなメリットがあります。データ化により経理処理にかかる時間とコストを大幅に削減できる可能性があります。その一方で負担になるのは、電子化のための機材の準備、システム導入にかかる初期投資です。

今回の改正では、一部規制が強化です。これは来月からすぐに対応が必要です。同時に、複数の規制が緩和されました。この規制緩和により経理関連書類の電子化のハードルが下がりました。すでに電子化を導入済の企業様にとっては、コストと手間を削減できる可能性があります。

今回は、改正のポイントについて、規制強化されたところと規制緩和された部分をそれぞれ解説します。
最初に本題に入る前に、電子帳簿保存法についておさらいしたいと思います。

ペーパーレス化を推進する電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、帳簿や国税関係書類(※)の電磁的記録について定めた法律で、2008年に施行されました。
電子帳簿保存法の主な目的は、納税者の文書保存に関わる負担の軽減です。
※国税関係書類・・・帳簿や国税関係書類:請求書や領収書、注文書など税務処理に必要な書類

電子帳簿保存法制定の背景にあったのは、当時の産業界全体のペーパーレス化の動きです。この動きに対応して、帳簿や国税関係書類の電子保存法を定めた法律が制定されました。電子帳簿保存法は、今回の改正を含めて現在まで5回の改正が行われています。

電子帳簿保存法の3つの制度とは

電子帳簿保存法は、以下の3つの制度から成り立っています。

1.電子帳簿等保存

対象書類:最初から電子データで作成している書類
内容:印刷せずデータで保存する方法を定めています。

2.スキャナ保存

対象書類①:相手から受け取った請求書・領収書など
対象書類②:自分で発行した請求書・領収書などの控え(コピー)
内容:スキャナやスマホで読み取って保存する用件を定めています。

3.電子取引データ保存

対象書類:データでやりとりした見積書・契約書・請求書・領収書など
内容:書類のデータを一定の要件で保存することを定めています。

その他:電子取引対象外(電子帳簿保存法は適用されず)
2のスキャナ保存において、紙の書類を紙のまま保存する場合は、電子取引対象外です。この場合、電子帳簿保存法は適用されません。

電子帳簿保存法が改正されことになった理由とは

国税庁が今回の改正の背景としてあげているのは、経済界のデジタル化です。
そして、改正の目的として挙げているのが、以下の3点になります。

  1. 経理の電子化による生産性の向上
  2. テレワークの推進
  3. クラウド会計ソフト等の活用による帳簿水準の向上

上記3点の達成に向けて、帳票書類の電子化手続きを抜本的に簡素化するとしています。
コロナ渦により、企業のテレワーク化が国を挙げて進められました。しかし、そのテレワーク推進上問題となったのが、書類手続きのために出社しなければならないという実態でした。
経理関連書類においても、その手続きのためだけに出社せざる得ない状況があります。今回の改正での規制緩和には、出社することなく手続きができるようにする目的があると思われます。

また、世界的に深刻化している気候変動問題もこれに関係しています。
書類に使われている紙の原料は、木材パルプです。帳簿をペーパーレス化することにより、森林伐採を抑制し気候変動対策につなげたいという考えです。

政府は、2030年の二酸化炭素の排出量を2013年比で46%削減することを表明しました。この排出量削減の達成に向けても、ペーパーレス化は重要な役割を果たすと思われます。

2021年1月からの改正の3つのポイント

改正のポイントを3つに分けてご説明します。
請求書等を紙で受け取った場合」についてご説明します。そして、「規制強化される部分」と「規制緩和される部分」をご説明します。すぐに対応が必要となるのは、「規制強化される部分」です。

請求書・領収書等を紙で受け取った場合はどうなるの?

取引先から「紙の書類」で受領した場合の保存方法は、改正前後で変更はありません。これまでどおり、紙での保管とスキャナで電子化しての保管の両方が可能です。

紙で保管する場合→法律対象外

紙で保管する場合は、電子取引対象外となるため電子帳簿保存法の規制を受けません。

スキャナで取り込んで電子化して保存する場合→規制緩和

 基準を満たせば、紙の書類をスキャナ取り込み、データとしての保存が可能です。

今回の改正で、データ化して保存する場合は、規制緩和の対象となります。

規制強化される部分

(1)電子取引の電子データ保存義務化

電子メールで受領した請求書や納品書などのデータを、プリントアウトして保存することはNGとなります。

今回の法改正で、規制強化されているのは、「取引先から電子データで書類を受領した場合」の対応です。この場合の保存方法が制限されます。

・改正前
「電子データ」と「プリントアウトした紙」のどちらで保存してもOK。

・改正後
保存方法は「電子データ」のみに制限。

取引先からメールで請求書等をデータで受領した際に、プリントアウトして紙の形で保存している企業様も多いかと思います。これは、年明けの法改正までに保存・管理を変更が必要です。

規制緩和される部分

(1)電子化保存における税務署長の事前承認申請(3ヶ月前)の廃止

紙で保管している国税関係書類の原本をスキャナ等で電子化保存する場合、規制緩和の対象となります。改正前までは、税務署長に事前申請が必要でしたが、改正後は申請が不要になります。
・改正前
電子保存には、3ヶ月前までの事前申請により税務署長の承認が必要

・改正後
税務署長の承認は不要。
電子帳簿保存法に対応した機器・システムが準備でき次第、電子保存可能
この改正により、機材が準備でき次第、国税関連書類はすぐに電子保存に移行できますが、これまで通りの紙での保存も可能です。電子化の際にエラーなどがあった時の「バックアップ」として紙での保存を継続することが可能です。

(2)タイムスタンプの期限緩和と一定条件下での免除

電子データ化した時の日付と時間のことを「タイムスタンプ」と呼びます。このタイムスタンプがあることで、改ざんを防ぐことができます。今回の改正で、タイムスタンプの期限・内容の緩和と免除措置の追加が行われました。
・改正前
電子化するデータに、「電子化した日時」と「受領者氏名」の記録を付与
書類を受領した本人が電子化する場合は、概ね3営業日以内にタイムスタンプを付与
書類を受領した本人以外が電子化する場合は、約2ヶ月以内にタイムスタンプを付与

・改正後
電子化するデータに、「電子化した日時」を付与するが「受領者氏名」は不要とする。
電子化する人が誰かに関わらず、約2ヶ月以内にタイムスタンプを付与。
一定の条件下でタイムスタンプの付与を免除する(※)
※改正後のタイムスタンプ免除の条件
電子化したデータの修正・削除等の履歴を残せる仕組みがある場合は不要。
理由は、電子データ改ざんの可能性が低いと判断されるため。

今回の改正で不要となったのが受領者の「氏名」です。氏名が不要となったことで、受領者にかかわらず期限が約2ヶ月以内に統一されました。さらに、一定の改ざん防止基準を満たすシステムは、タイムスタンプが免除されます。

この改正によりテレワークでの業務効率化が進むことが期待されています。電子データのタイムスタンプの期限が約2ヶ月に統一されたことで、出社日に合わせて電子化手続き可能となり、手続きだけのために出社する必要がなくなります。

(3)電子データの検索要件の緩和

税務調査等で、必要な情報をすぐに取り出せるようにしておくというルールがあり、「検索要件」と呼んでいます。
今回の改正で、その検索条件が緩和されました。さらに小規模事業者は、条件を満たせば検索条件が免除となりました。
・改正前
「取引した日付」、「勘定科目の種類」、「取引の金額」
その他の帳簿の種類に応じた主要な項目

・改正後
「取引した日付」、「取引の金額」、「取引先の名称」の3項目に限定
  小規模事業者(※1)は、条件(※2)を満たせば検索条件の全てが免除
  ※1:小規模事業者
基準期間の売上高が1,000万円以下の事業者の方
  ※2:条件
税務職員の質問検査権に応じて電磁的記録のダウンロードができる場合
今回の改正により、帳簿ごとに複数定められていた検索要件が、3項目に絞られました。

(4)意図せず申告漏れが起きた場合の救済措置

税務処理で気を付けなければいけないのが申告漏れです。しかし、複雑な税務処理においては、気を付けていても申告漏れが起きてしまうことがあります。今回の改正で設けられたのが、意図せず申告漏れしてしまった場合の救済措置です。

この救済措置は、一定の国税関連書類が、以下の3要件を満たしている場合に適用されます。これを満たしていれば、申告漏れが起きた場合に過少申告加算税が5%軽減(※1)されます。

  • 一定の国税関係帳簿(※2)について優良な電子帳簿の要件(※3)を満たしている
  • 電磁的記録による備付け及び保存を行っている。
  • 軽減措置の適用を受ける旨等を記載した届出書を所轄税務署長に提出している。

※1:救済措置の条件
救済措置は、隠蔽し、又は仮装された事実がない場合に限ります。
※2:一定の国税関係帳簿(以下、国税庁のサイトから抜粋・引用)
所得税法・法人税法に基づき青色申告者が保存しなければならない書類
総勘定元帳、仕訳帳、その他の必要な帳簿
消費税法に基づき事業者に保存義務がある帳簿
※3:優良な電子帳簿の要件
   改正前の電子帳簿の保存要件8項目を満たしていること。

電子データ保存を進めるタイミングはいつ?優先順位は?

改正された電子帳簿保存法が施行されるのは、2022年1月1日です。
受領した電子データをプリントアウトして保存するという事務フローを行っている企業様は、すぐに準備が必要です。
この場合、2022年1月1日までに、検索要件を満たす保存・管理の準備が必要です。
改正法の施行前の書類であれば、プリントアウトして保存していても認められます。
施行後は受領データをプリントアウトすること自体がNGとなるので、データ保存の機材の準備と、事務担当者による業務の流れの確認をしましょう。

紙で受領した書類は、業務フローに慣れるまでは「電子化保存」と「紙での保存」の併用も可能です。両方を保存することにより、電子化の操作ミスなどの不備によるペナルティリスクを低減できます。紙での保存は、電子帳簿保存法の対象外ですが、併用すれば、電子化保存に不備があった場合でも、紙での保存で担保できます。

経理関連書類を含め紙の電子化を進めることは、地球環境の保護のためにも重要です。電子化により紙の使用量を減らすことは、森林保護につながります。二酸化炭素吸収する森林保護により期待されるのが、気候変動対策強化です。

気候変動対策は、SDGsの17項目の内の13番目に指定されています。SDGsへの関心が高まると同時に、注目されているのが企業の環境への貢献度です。電子化推進により地球環境への貢献を示すことは、企業価値の向上にもつながります。

今回は電子帳簿保存法について取り上げました。改正への対応として、優先順位の高い規制強化への対策からはじめましょう。規制強化対策が済んだら、規制緩和された部分にじっくりと取り組むことをおすすめしたいです。

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