食品・お菓子のネットショップのニーズが変わった!新戦略はこれ
公開日:2022年8月11日
食品EC(ネットショップ)業界は、コロナ禍に大きく成長し、競争が激化しました。
これまで店舗での販売だけだった企業でも、これを機にネットショップ事業を始めたり、サブスクリプション型の販売を始めたりなど、大手企業も参入する動きがありました。
コロナ禍で業績を伸ばしているEC企業の特徴は、「コロナ禍特有の商品開発」や「コロナ禍の状況にあったサービス」を展開しているとことです。
つまり、コロナ禍の影響でユーザーのニーズが変わったとも言えるのです。
今回はそのことに着目しました。
食品関連が好調。その理由は、「買いに行けない」「会いに行けない」
2020~21年は、緊急事態宣言が出たため、外出すら難しくなり、帰省ができない時期が続きました。
「買いに行けない、会いに行けない」という状況の中、頼りになるのはネットショップでした。
そして、自分が会いに行けない代わりに、相手に何かモノを贈りたいという意識が高まり、祖父母が孫に贈ったり、一人暮らしをしている子供に母親が贈ったりというケースが増えました。
2021年の夏はお盆時期の帰省や旅行の自粛が呼びかけられたため、帰省時の手土産の代わりにギフトを贈る「夏の帰省暮」というブームが生まれ、新習慣として定着しつつあります。
この時の贈り物として、どんな品物を選んだかというアンケートは下記のようになりました。食品が上位を占めています。
どんなものを贈りましたか?
- 1位・・・洋菓子、スイーツ
- 2位・・・和菓子
- 3位・・・果物
- 4位・・・肉加工品、ハム、ソーセージ
20~30代の子育て世代をターゲットにした商品は、60代の祖父母世代もターゲットにいれよう
娘、息子、孫に贈りたい
「会えない代わりに、食品を贈りたい」という気持ちを強く持つのは、子や孫を持つ50代~60代の親世代のようです。育ち盛りの孫や、子育て真最中の20代~30代の娘や息子が喜びそうなものを贈りたいという思いがあります。そのため、20代~30代向けの商品をその親世代が選んでいるという状況が起きています。
しかし、ほとんどの人が若い世代がどんなものを好むのか分かりません。
そんなとき、今までならデパートの売り場に行って、店員さんに「孫と娘が喜びそうなものを贈りたいのですが、今どきの若い人ってどんなものがいいの?」と聞けば丁寧に教えてもらえるのですが、それができないので、自分で探さなければなりません。
ネットショップ運営側としては、この状況は新顧客獲得のチャンスです。
20代~30代向けの食品ECでできる対応策
- 贈り物として発送する場合の方法を分かりやすく説明したページを設ける
- 「おすすめ商品」や「人気商品の詰め合わせ商品」を作り、相手の好みが分からなくても選びやすいようにする
- 幼児なら何歳から食べられるか、アレルギー物質は入っているかといった説明を入れる
- 「お子さんに人気」「贈り物におすすめ」といったキャッチコピーを入れる
「お客様の声」には、ぜひ写真をつけて
贈り物にする商品を選ぶとき、自分が食べたことがないもの、相手の好みが分からないときの選定の決め手となるのが、「お客様の声」です。
相手先と同年代、同じ家族構成を参考にしています。
そのお客様の声に、相手先と同世代の顔写真が載っていると選ばれる確率が高くなります。
赤ちゃんを抱っこした女性の写真、20代夫婦の写真は、「孫と同じ」「娘夫婦と同じ」という共感が生まれ、安心感につながり、購入のきっかけになります。
20代の健康志向、ホンモノ志向が伸びている
オーガニック食材や、健康食品の売り上げが上がっています。コ
ロナ禍で体調管理が重視されているからだけでなく、新たな世代の登場が原因のようです。
自炊が増え、食にこだわる若者が増えた
外食自粛がきっかけになり、自炊をする人が急増しました。
若者世代にこれまでにない異変が起きています。その世代と言えば、外食やファーストフード、加工食品が人気だというイメージがあるのですが、意外にも健康志向の意識が生まれているのです。
その理由は、「食育」にあるようです。「食に関する知識と食を選ぶ力を育てる」という「食育基本法」が制定されたのが2005年。
学校で食育の授業を受け、体にいいものを選んで食べたい」という意識を持った世代がそろそろ成人しているのです。
私の知人の50代の女性が、一人暮らしをしている20代の息子に「自炊は大変だろう」と思ってレトルト食品を送ったところ「母さん、今度からお米か野菜を送って」とLINEがきたそうです。
Youtubeの料理番組が人気
「料理」についての情報発信をしているYoutubeチャンネルや、Twitterが急増しました。これも、コロナ禍の外食、外出の規制が大きく影響しています。
世代、男女問わず受け入れられる番組内容になっていて、料理の工程を丁寧に説明していたり、あるいは難しい工程は飛ばして簡単に作れる方法を紹介したりしているため、これまで料理をしたことがなかった人にも人気が出ています。
Youtubeをよく利用する若年層は特にこの影響を受けていると思われます。このことからも、「食べるものにこだわりたい」という風潮が強まっているものと思われます。
お菓子のサブスクリプションが大好評
「頒布会」という名称で、毎月商品が届くというサービスは以前からありましたが、NetflixやAmazonプライムなどのサブスクリプション型のサービスが一般的になってから、「頒布会」を「スイーツのサブスク」という呼ばれ方になり、急成長しています。
おいしいだけじゃなく、感動が求められている
毎年増収しているというサブスクリプションサービスに共通しているのは、「今まで見たことがないもの、これまでのスイーツの概念を変える商品を届けたい」「届くときのワクワク感を提供したい」というコンセプトにしています。つまり、購入者の感情や気持ちを動かせることを目的にしています。これは、コロナ禍のストレスで、不眠や鬱などメンタル面での不調を感じる人が多い状況で、少しでも気持ちを明るくしたいというユーザーのニーズを捉えたことがヒットの原因だと思われます。
Cake.jpのメロンケーキ
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フードロス防止につながる
食品のサブスクリプションの大きなメリットとしては、フードロスが削減できることです。受注に合わせて作製し食べごろ時期に発送するため、材料の無駄がなく、廃棄食品も出ません。
コストが削減できるので販売価格を下げることができるため、消費者にとっては「おいしいものが安く買える」ということになり、生産者にとっても消費者にとってもメリットとなります。この、フードロスに関する説明をネットショップ上に記載したところ、受注が増えたというEC事業者もいました。
まとめ
今回ご紹介した内容は、コロナ禍が終息しても続きそうな予感がしています。
ネットショップの新たな戦略として参考にしていただければ幸いです。
この記事を書いた人
- ウェブサイト制作も営業もディレクションもライティングもマーケティングも、何でも絡んでみたくなるオタク気質な姐さん社員